「なぜ型枠屋にHP?」から始まったオンライン戦略

「なぜ型枠屋にHP?」から始まったオンライン戦略

プレキャストコンクリート工法で使われる鋼製型枠の設計・製造を手がける株式会社万結工業。短納期体制や、ミリ単位に対応する品質の高さから、五輪競技場や空港など大型施設で用いられるコンクリートの型枠製造にも携わってきた。梛原春男社長はHPを持つことには当初懐疑的だったが、2019 年にHP開設後、新規顧客が増えるなど確実にオンライン発信の手応えと意義を感じている。梛原春男社長と梛原和代氏に話を聞いた。

ミリ単位の精度で信頼を築く

──万結工業とは?

梛原 プレキャストコンクリート工法で使われる鉄製型枠の設計・製造を行う会社です。2012年に彩友工業として創業し、19年に現在の万結工業へと社名変更しました。
創業前の個人事業の時代は下請けでの受注が中心でしたが、利益率が低く、「このままでは会社として成り立たない」と感じていました。親会社にも相談しましたがらちが明かず、下請けという立場での価格交渉の難しさを感じていました。それならば、と自分たちで直接取引を開拓する道として選んだのが創業という手段です。そこから徐々にお客さまに恵まれ、現在につながっています。

──強みは?

梛原 精度へのこだわりです。大型の型枠は10メートル単位になることもありますが、一方でミリ単位での誤差が許されません。なぜなら高層建築では、数ミリの違いでも高層階へとコンクリートを積み上げていくうちに、最上部で誤差が大きく広がってしまうからです。つまり、設計段階の精度が非常に重要なのです。そのため設計部門に力を入れており、1物件に複数人体制で図面を確認し、工場とも密に連携しながら精度をつくり込んでいます。
もう一つ、当社の自慢は短納期への対応力です。実際に取引先さまからは、「他社に依頼しても納期に間に合わず困っている」という相談を受けることが非常に増えています。当社では「納期には必ず間に合わせる」という文化があり、従業員には負担がかかる場合もありますが、その姿勢が選ばれる理由につながっていると感じています。


──高精度かつ短納期のものづくりはどのように?

梛原 埼玉の熊谷工場に加えて千葉にも工場を設け、製造キャパシティを増やしました。大型製品を扱うため、工場のスペースや出荷効率は生産量に直結します。千葉工場は立地条件も良く、お客さまの近くにあることから即納対応しやすくなった点も大きな強みです。

──ものづくりにおいて大切にしている考え方はありますか。

梛原  「丁寧に、正確につくる」という当たり前のことを徹底することです。最終検査まで妥協せず、出荷前に全員でチェックする文化があります。型枠はコンクリートが固まった瞬間に形が決まるため、後から直すことができません。だからこそ、設計も現場も、一つのミスが大きな問題につながるという意識を持って仕事に向き合っています。


営業基盤を変えたHP

──HP作成のきっかけは?

梛原 当初は「HPをつくっても意味があるのか」と思っていました。職人のイメージが強い業界なので、ネットを活用するメリットを見いだせなかったのです。ただ、彩友工業を立ち上げた際、「これからは窓口を整えたほうがいい」と感じ始めていたタイミングで、土屋政信税理士事務所さんから、「営業の入り口としてHPを整えるのは非常に大事」というアドバイスをいただき、HPをつくる気持ちが固まりました。

──制作後の感想は?

梛原 当初は半信半疑でしたし、社員からも「本当に必要なのか」という懐疑的な声が上がりましたが、今となっては「HPがなかったら新規の仕事は広がっていなかった」と実感しています。実際にHPからの問い合わせが増え、普段お願いしている型枠業者さんが手一杯のときに、ネット検索から当社を見つけてくださったケースもあります。実際の取引につながった例もあり、確実に営業の窓口として機能しています。


現場の技術を「見える化」する

──制作の中でこだわった点を教えてください。

梛原和代 当社がどのような思いで仕事をしているかを、いかに発信するかが大事です。短納期に対応する姿勢や、ミリ単位で精度を追い込む職人のこだわりは、外からはなかなか見えにくい。そこをしっかり伝えることで、お客さまに安心していただきたいのです。また、採用ページには社員のインタビューや写真をしっかり掲載しています。高校生や若い方に対して、「どんな仕事で、どんな人が働いている会社なのか」を見える化することは重要だと思っています。


──2025年にリニューアルを行った理由は?

梛原 制作してから時間もたっているので、「どうせ使い続けるなら新しいデザインや動画コンテンツも取り入れ、もっと見てもらえるHPにしたい」と思ったのがきっかけです。

── リニューアル後に感じた手応えはありますか。

梛原  「HP見ましたよ」「すごく分かりやすくなりましたね」といったお客さまからの声をいただくことが増えました。また、「社長のイメージとHPの雰囲気が違ってびっくりした」と言われることも少なくなく、それだけ興味を持って見ていただけているのだなと思いました。たとえば、HPを見たコンクリート会社さんから新規取引の問い合わせが来た時には、「HPをつくって本当に良かった」と実感しました。

──今後の戦略は?

梛原和 製品の説明により力を入れていきたいですね。型枠は用途も構造も専門性が高く、見た目が似ているものも多いので、文章で伝えるのが非常に難しいんです。現場では当たり前に使う言葉でも、お客さまや学生さんには分かりにくいということもある。今も製品実績を載せていますが、「もっと丁寧に、言葉とともに当社のものづくりの魅力を説明したい」という感覚は常に持っているので、今後は、HPを活用してより一層丁寧に当社の魅力を伝えていきたいと思っています。

(取材協力・土屋政信税理士事務所


株式会社万結工業
住所:〒360-0843 埼玉県熊谷市三ヶ尻3823
URL:https://www.manyu-ind.co.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

この記事への感想やご意見、サービスに関するご質問がありましたら、下記ボタンよりお問合せください。


ホームページの制作に関するご相談・ご質問は下記Smartpageサイトよりお問い合わせください。

■ ホームページ制作ツール「Smartpage」

■ ホームページ制作事例

■ アイ・モバイル株式会社ITマーケティング研究所へのお問い合わせはこちらから