グループホームを核に”笑顔を生み出す介護”を実践

グループホームを核に”笑顔を生み出す介護”を実践

名古屋市で認知症高齢者のための入居型介護施設グループホーム「グリーンハウス」を運営している株式会社山市。2000年の創業から一貫して利用者やその家族からの「笑顔を生み出す介護」を大切にしてきた。
介護保険法の改正など、国の施策も影響する介護業界で、長年支持されてきた秘けつは何か。上田巖社長に話を聞いた。

柔軟で寄り添う介護を提供

グループホーム「グリーンハウス」

グループホーム「グリーンハウス」

――創業の経緯は?

上田 創業前は、大規模な特別養護老人ホームで働いていました。介護では、入居者様のことをよく知ることはもちろん、ご家族とのコミュニケーションも大切です。しかし、やはり大規模施設では一人ひとりのために充てられる時間が限られてしまいます。もっと寄り添った介護をできないものか、と考えたのが創業のきっかけです。

――認知症の方のためのグループホームにしたのはなぜですか。

上田 グループホームは、1ユニット最大9人の単位で、顔馴染みのスタッフが家庭的な環境の中で日々のケアをしていく施設。入居者様との関係をじっくりと深め、一人ひとりに合った介護を目指しやすいのが特徴です。介護はマニュアル通りにはいかない世界なので、グループホームのような小規模施設であればできることの幅も増えるのでは、と考えました。

――今でもその想いは変わらないですか。

上田 はい。今は入居者さまも年齢が上がり、身体が思うように動かせない方が増えていて難しいのですが、7、8年前は温泉旅行にお連れするイベントを実施したこともありました。認知症の方は、昔の記憶は残るものの、最近起きたことが覚えられない傾向があります。しかしそのイベントに参加した入居者さまの一人は、旅行のことを帰ってからもずっと覚えていて「一緒にカラオケしたよね」や「タバコ吸ったよね」と今も話されます。そんなときは、楽しい記憶や楽しい気持ちを持ち続けていただけていることに、とても喜びを感じます。

――コロナの影響はありましたか。

上田 感染症予防対策として、入居者さまとそのご家族の面会が思うようにできなくなっています。また、イベントも開催できていません。そんな状況ですが、入居者さまと家族の絆をつなぐため、現場ではオンラインシステムを構築し、少しでもご家族と話せる機会をつくるように工夫しています。早く以前のように家族会など行えればと願っています。

――運営上心がけていることは?

上田 地域の皆さまとの交流を大切にしています。私は元自治会長であり、小学校のPTA会長、幼稚園の役員もさせていただいている関係で、入居者さまが園児、小学生と交流を図る機会があります。コロナ禍により現在は実施できていませんが、地域の方に「近くにこんな施設があるんだ」と知っていただくことは、大切な事だと考えています。また、いつ発生するかわからない南海トラフ地震に備え、地元の消防団長もさせていただいています。地域の皆さまのお力をお借りして、災害時にお役に立てるよう取り組んでいます。

――介護の現場は国の方針に左右されることが多いのでは?

上田 その通りです。かつては「施設から在宅へ」ということで、デイサービスなどの通所型施設が国の施策で積極的に増やされました。しかし、今では「在宅よりも施設で」という流れが主流になりつつあります。当社もデイサービスを行っており、その意義やニーズも十分理解していますが、国の施策に左右されるので難しい部分もあります。
翻ってグループホームは在宅介護・施設介護、どちらの流れになったとしても、ニーズが必ずある施設形態。長く入居される方も多く、なくてはならない場所です。そういう意味では、今後もグループホームを核とした事業展開を進めたいと考えていますが、名古屋市では区、学区単位の優先制度があり、地元での新規開設が困難な状況です。先日も地価の安い所有の畑を利用したグループホーム建設を名古屋市に申請しましたが、前述の優先制度のために無理でした。こんな事でいいのかと思います。

――規模拡大も視野に?

上田 政策に左右されるので思い通りにはいきませんが、チャンスがあればグループホームも増やしたいですね。
当社で働いてくれているスタッフは、若手からベテランまで年齢層も幅広く、子育てなどと両立しながら頑張ってくれている女性スタッフもいます。時短など、一人ひとりに合った働き方を整備するためにも、施設が複数あった方が柔軟にスタッフを配置できます。職員が笑顔で働けなければ、いい介護は提供できません。どうやったらみんなが笑顔で仕事ができるか常に心を砕いています。

施設の様子をHPで発信

株式会社山市のホームページ

株式会社山市のホームページ

――HPをリニューアルされましたが、きっかけは?

上田 以前のHPは14~15年前につくった古くさいものでした。時代に合わせたHPが必要だろうという話が持ち上がり、リニューアルをすることにしました。いまや情報を発信するのは当たり前の時代。必要最低限のサイトは作っておきたいという考えました。

――ブログもあって日々の様子が伝わってきます。

上田 グループホーム、デイサービス、それぞれの日々の様子をスタッフがブログで発信してくれています。実は、意外とこのブログを書くのが、職員のモチベーションアップにもつながっています。入居者さまのご家族も見てくれていますし、HPを通じて安心感を提供できているのではないでしょうか。また、職場の様子がなんとなく分かれば、求職者の方に「応募してみよう」と思っていただけるのではと思っています。今後はSNSからの発信や、動画などにもチャレンジしていきたいですね。

――抱負を。

上田 環境的には厳しい部分もありますが、この事業を全うしながら今後も地域に貢献していきます。人間は泣いて産まれてきますが、「死ぬ時は笑って死ねる人生」にしたいものです。


この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

上田巖社長

上田巖社長


株式会社 山市
住所:愛知県名古屋市中川区前田西町2丁目912番地
TEL:052-309-7501
URL:https://www.yamaichi-family.co.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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