戦略的な会計と人材育成で未来をつくる塗装会社

戦略的な会計と人材育成で未来をつくる塗装会社

プラントや橋などの鋼構造物から、マンション・ビルなどの建築物まで幅広く塗装工事を手がける兵庫県姫路市のナカシマ塗装株式会社。同社は、自社の成長だけでなく業界全体の未来を支えるための職人育成も視野に入れ、堅実な成長を遂げている。
会計資料を基に、利益をしっかりと確保しながら、人材育成にも力を入れる経営環境をどう作っていったのか。中島一則社長に話を聞いた。

一人親方から法人化した理由

――1995年に一人親方として独立後、会社を設立した理由は?

中島 職人の世界に憧れて、塗装業の世界に足を踏み入れたのは19歳頃のこと。仕事も覚え、一人親方として独立したのですが、だんだん「一人ではできない仕事をもっとやってみたい」と思うようになったからです。
さまざまな現場を経験させていただき、自分が得た知識を次世代に伝承していかなければならないと思ったのも大きかった。一人で単価の低い現場を手がけるよりも、会社にしてもっと規模の大きい仕事を受けられれば、人材を雇用・育成できますから。

――法人化して感じた変化や手応えは?

中島 おかげさまで、法人化当初から仕事も順調にいただき、すべり出しは好調でした。ただ、売り上げが大きくなるにつれて「自分一人ではもうできない」と感じるようになりました。仕事が忙しくなりすぎて、現場でのトラブルも増えていきました。
そこで相談したのがTKC会員の橋脇公彦先生です。会計のイロハから教えてもらい、会社のお金の流れを把握できるようになりました。受注した仕事を、売上高ではなく利益率の視点で見られるようになったのは大きな変化です。
例えば、数千万円単位の受注があったとしても半年で利益が100万円しかない仕事なら割に合わないですよね。反対に売上高は500万円と小さくても、100万円の利益が確保できる仕事が2カ月スパンの工期であるなら、後者の方が価値が高い。きちんと根拠を持って、どの仕事を受けるべきか判断できるようになりました。

――法人化し会計を整えたことで、先を見据えた経営ができるようになったということですか。

中島 まさにその通りです。プラントなど規模の大きい鋼構造物の塗装も手がけていますが、これは錆を予防するなど、建造物をいい状態に保つために必要な下処理作業。そういう意味では、塗装の仕事は5年先、10年先に仕事の良し悪しがわかる仕事です。「あのときにはナカシマ塗装にいい仕事をしてもらった」と言われたいし、次のご依頼時にも頼っていただける会社でありたいと考えています。
薄利多売で忙しくなり、品質が低下したり、人材育成が後回しになってしまったりしては元も子もありません。しっかりとした会計管理は、品質向上にも、先を見据えた経営にもつながっています。

――中島社長は人材育成にも力を入れておられますね。

中島 私自身が20数年かけて学んできた技術や経験を、次世代に伝えていきたいと思っています。これまでと違い、「見て覚える」という育成法が若い世代には通用しなくなってきています。現場をこなしながら、きちんと教えていくのは大変ですし、時間もかかります。長い目で見てやっていかなければいけないと感じています。

――現場の仕事と並行して人材育成を行うコツは?

中島 じっくりと仕事を教えられるゆとりのある現場環境を整えることが大切です。バタバタと忙しい現場では、工事を完遂することで精一杯になってしまい、人材育成は二の次になってしまいます。確実に仕事をこなし、かつ若い職人に仕事を教えていくためには、忙しすぎてはいけません。
そういう意味でも、利益を確保できる案件かどうかを、会社としてきちんと経営判断できるようになったことは人材育成にもいい影響を及ぼしています。


採用強化のためHPを開設

ナカシマ塗装株式会社のホームページ

ナカシマ塗装株式会社のホームページ

――自社HP開設の目的は?

中島 人材採用に力を入れていきたいと思ったからです。ハローワークや情報サイトなどに求人を出すとしても、若い世代の子達はHPをチェックするのが当たり前。HPもなく、情報がまったくない会社では、応募ハードルが高くなりますから。

――反響はどうですか。

中島 おかげさまで多方面から、「HPいいね」とお褒めの言葉をいただいています。私たちの人材採用にかける想いや、どんな会社にしていきたいかという企業理念をしっかりと掲載できたのがよかった。塗装会社のHPは、「こんなに安くできます」「私たちにお任せください」などの言葉が並ぶ営業的な要素が強いものが多いですが、私がHPでやりたかったのは営業ではありません。そういう意味でも、しっかりと伝えたい内容を盛り込めました。今働いてくれている従業員に対しても、社訓や会社の姿勢を改めて伝えるきっかけになったのではないでしょうか。
また、想定していなかったのですが、HPから仕事の問い合わせもいただくようになりました。

――今後HPをどう活用していきたいと考えていますか。

中島 すぐにとは思っていませんが、ゆくゆくは動画コンテンツなどもHPに取り入れてみたいですね。HPを作る前は考えもしなかった構想やアイデアも沸いてきました。

――今後の経営ビジョンをお聞かせください。

中島 利益を追求することはもちろん大切です。ただ、一法人として仕事をさせていただく以上、次の世代を担う後継者の育成も大切な役割。まだまだ小さな会社ですが、社員や職人の育成、業界全体の向上に貢献していきたいと思っています。人材が育ち、組織が強固になれば自然といい仕事ができるようになり、実績にも反映されていくはずです。「魅力ある会社は、働く社員により築かれる」。この理念を体現するために、労働環境の整備などにももっと力を入れていきたいですね。


この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

中島一則社長

中島一則社長


ナカシマ塗装株式会社
住所:兵庫県姫路市御立西6丁目4-6
TEL:079-255-5911
URL:https://www.nakashima-tosou.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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