三本の柱でリピーターつくる個人酒店の差別化戦略

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三本の柱でリピーターつくる個人酒店の差別化戦略

大阪府高槻市にある富田酒店は、阪急電鉄京都本線の上牧駅に隣接した好立地の酒店である。個人酒店の経営は厳しいと言われるなか、生産者から仕入れた玄米、九州の地場焼酎、国産地ビールを3本の柱として地域密着の営業を続けている。店主の富田真人氏にその差別化への取り組みとホームページ(HP)の運用によるPR戦略について話を聞いた。

「やりたいようにやる」

──家業を継がれた経緯は?

富田 もともと漫画家志望で、美術系の大学に行ったこともあり、卒業直前まで家業を継ごうとは考えていませんでした。とはいえ卒業した1993年は平成不況の年で、就職活動もしておらず進路を決めかねていました。そのため選択肢は限られていて、結局、酒屋の修行をするんだったら今しかないと思い、吹田市の大手の酒店で3年ほど働きました。その間に気持ちが定まったというわけです。そこで経験を積むにつれ「商売って何だろう」という疑問が芽生え、その答を探すために1996年に実家に戻りました。

──実家に戻ってしたことは?

富田 修業先では「お客さまのニーズに合ったものも売っていく」という方針で、酒のほかに米も販売していました。その影響で、当店でも店頭精米を商品として扱おうとしたところ、家族と意見が対立しました。精米の必要性、高額な機械の購入、スペースの確保と、手間やコストがかかることが家族の反対の理由でした。結局、米の販売に踏み込めずにいたところ、お客は減る一方。立地が良いにもかかわらずです。なんとかしなくてはと、駅への行き帰りの朝の通勤・通学を目当てに、早朝にお弁当やおにぎりを仕入れて販売したり、酒のディスカウントショップにも挑戦しました。しかしうまくいきません。そこで、覚悟を決め「俺のやりたいようにやらせてくれ」と舵を切りました。

──やはり米ですか。

富田 はい。2009年の6月に精米機を買って米の販売を始めました。しかし、半年経過してもまったく売れません。その間、地道にチラシを打って宣伝したり、1袋30キロの玄米を5キロずつ小袋に分けて、産地のイメージをイラストで描いて袋に貼り販売したりもしました。そうこうするうち、少しずつ売れるようになりました。

──米の選定は?

富田 生産者や米卸から選抜した玄米を仕入れています。〝美味しいコメ〟かどうかは、水や土壌の条件のほかにも、生育管理が行き届いているかどうかで決まります。それを確認するため産地に行って、環境や生産者を確認し、もちろん食べてみて、気に入ったものを販売しています。今でも気になる情報があれば、産地に行って確認します。また、私自身も研鑽しなければと、2009年3月に米飯管理技能士、2010年7月に水田環境鑑定士、2015年3月にお米マイスター(三ツ星)の認定を受けました。 もう一つ、当店の特徴は、玄米をその場で精米して販売していることです。常温で何日も経過した小分袋入りの白米を販売するよりも、お客さまが選んだ玄米をその場で精米する方が安心感と信頼感があります。なにより鮮度が違います。今は売上の半分がお米です。

──酒へのこだわりは?

富田 九州の地場焼酎や国産地ビールを直接仕入れるルートを開拓しました。焼酎は、全国に出回らない銘柄で味が良く値段もリーズナブルなものを選んでいます。地ビールは、若い人に人気があり、大手メーカーではつくることができない特徴のある味わいが好まれているようです。こちらもリピーターづくりに役立っています。

HPで産地の詳細を紹介

──HPの活用法は?

富田 野垣浩公認会計士・税理士事務所に紹介いただいたBESTホームページ(TKC会員の関与先企業のみ利用可能)を利用していますが、デザインにすぐれ店の特徴が出ていると喜んでいます。ウチは地域密着型なので、近隣の方々に店の中に入ってきて商品を手に取ってみて欲しいという思いがあります。そのために、生産者から直接仕入れている玄米、九州の地場焼酎、国産地ビールなど、希少性のある商品を販売していることをHPで強調しています。特に米は、私が産地を視察したときに撮った写真やコメントを掲載するなど、銘柄ごとの具体的特徴を伝えるようにしています。

──今後取り組みたいことは?

富田 更新頻度を上げて、商品の特徴をもっと伝えていきたいし、米を買いに来られた方の利便性を上げるツールとしてもHPを活用したいですね。今は買いに来られた方に精米する間お待ちいただいてますが、お客さまの中には時間がない方もおられるので、スマホで銘柄と来店時間をあらかじめ指定いただき、待ち時間なしで購入できるサービスも考えています。

 

 

 

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

富田酒店
住所:大阪府高槻市神内2-1-1
TEL:072-685-1843
URL:http://www.okomejizou.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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