小さな箸問屋が挑むウェブ活用戦略

塗箸の国内生産シェア8割を誇る福井県小浜市。この地で箸問屋を営むのが創業34年の株式会社大岸正商店だ。伝統的な若狭塗箸をはじめ、素材を生かしたオリジナルのくり木箸など時流に沿った商品を土産物店などに卸し、最近ではオンライン販売にも乗り出した。この春、東京から小浜に戻られ、同社の次代を担う大岸俊介氏、大岸あや氏に、販路開拓に向けた取り組みと将来のビジョンについて聞いた。

時流に沿った商品を提案

――若狭塗箸を中心に扱われているそうですね。

俊介 若狭塗箸は400年の歴史を持つ小浜市の地場産業で、全国的に有名です。貝殻や卵殻を散りばめ、色漆を何重にも重ねて研ぎ出した美しい模様が魅力で、広く愛用されてきました。しかし近年は、きらびやかな箸よりもナチュラルでシンプルなものが好まれる傾向にあります。伝統ある地場の若狭塗箸を幅広く取り揃え、今の消費者の嗜好や流行に合った商品にも力を入れています。



――今の売れ筋は?

あや 素材を生かした木箸が人気ですね。擦り漆(すりうるし)といって、黒檀や栗の木などの木地に色の付いていない生漆を塗り、布やペーパーで拭き取って仕上げるので、木目が綺麗に見えるんです。中でも、当店オリジナルの「くり木箸」は、素朴な風合いと持ちやすさが評判で、珍しい楕円形のものが特に売れています。





――取引先は?

あや 最も多いのは土産物問屋で、そこから全国の土産物店に流通しています。浅草や京都などの観光地の土産物店や雑貨店に当店から直接卸しているケースもあります。

――強みは何でしょう。


俊介 小さな会社ですが、その分、誰もが決定権を持ち、小回りが利きます。ただ商品を卸すだけでなく、どうすれば売れるのか提案することを重視しています。お土産に買いやすいパッケージやネーミング、外国人観光客向けの多言語ポップの作成、店ごとの最適なアレンジも行います。売場に実際に行って売るために必要なものを察知し、すぐ形にして提供できるのが当店の強みです。

あや 商品の売り方を考える上で、私も主人も別業界で長く営業として働いてきた経験が生きています。同じような商品を扱う卸業者の中で「大岸さんから買いたい」と選んでもらえる問屋を目指し、知恵を出し合いチャレンジしていきたいと思います。

ネット経由で個人向け直販拡大

――ウェブの活用については、どうお考えですか。

あや 当店のような規模の小さい会社ほどネットでの発信が重要なのではないでしょうか。私たちが入社する前に、両親が名刺代わりとしてホームページ(HP)を開設しました。情報をきちんと公開することで、信頼できる会社だと思ってもらえているようです。更新頻度が多くなるほど、見て下さる方も増えるので、これからさらに力を入れていく予定です。

――――BESTホームページの使い勝手はいかがでしょう。

あや 直感的に文章を入力できたり、画像を移動させるにも難しい操作は不要で、すごく使いやすいですね。しかも見栄えも良いですし、簡単に本格的なHPを作成できる点に満足しています。土産物店に卸している箸はほとんど掲載しており、商品ページの差替や追加で2日に1回は更新しています。

――HPの反響は?

俊介 新規開業する飲食店から箸と箸置きを80セット注文いただくなど、HPを見た業者さんからの注文や問合せが定期的に入ります。名入れサービスも好評で、学校の卒業記念、老人ホームの入居者さん用など、多方面から名入り箸の大量注文が来ています。私は入社してまだ半年程ですが、こんなに反響があるんだと驚いています。

――オンライン販売も始められました。

あや FAXや電話での注文だと個人の方は利用しにくいと思い、今年の6月にオンラインショップをオープンしました。それ以降、確実に注文は増えています。特に1膳7000円ぐらいの高級塗箸が人気で、結婚祝いをはじめギフト用に購入される方が多いです。

――今後の活用方針をお聞かせください。

あや デザインの一新とともに効果的な見せ方を考え、ネット経由の売上比率を高めていきたいです。例えば、ギフト用ニーズが高い個人の方には、既存の商品を組み合わせたギフトセットを用意してギフトページに掲載すれば、選んでいただきやすいと思います。また、バナー作成機能を利用して、母の日・父の日など季節ごとのギフトも提案していこうと考えています。

俊介 一方で、本業の卸しでも取引先の開拓につなげたいですね。箸の仕入れに困っている業者の方にも見てもらえるよう業務用の箸をカテゴリに追加したり、法人向けの案内を分かりやすくし、当店の営業マンであるHPをより強力に育てていきたいです。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
株式会社大岸正商店
住所:〒917-0024  福井県小浜市和久里9-1-12
電話番号:0770-56-2284
HP:http://www.wakasa-ohashi.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

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