川魚の加工で付加価値を高め、ネットショップで売り上げ拡大

深山に囲まれ清澄な河川を抱く飛騨市宮川町は、有数の川魚の生産地。そこで川魚の養殖から、加工・販売まで一貫して手がけるのが「有限会社さわ」だ。川魚を甘辛く煮た独自の「ぼっか煮」は飛騨の名産にもなっている。澤大輔社長、飛騨会計事務所の福田幸博所長、春見孝幸氏に、同社の商品開発・販売戦略について話を聞いた。

養殖から販売まで一貫体制

――養殖からスタートされたとうかがいました。

澤 川魚の良さを知って欲しいと、先代である父が養殖を始めました。もともと宮川町は川魚の養殖が盛んで、イワナ・ニジマスの水揚げ高は岐阜県一です。低めの水温と綺麗な谷水で育ったここの魚は、臭みがなく、身が締まっています。よりおいしく食べていただくため、川魚の「ぼっか煮」を独自に考案し、以来、加工品の製造と販売に力を入れるようになりました。

――「ぼっか煮」の特徴を教えてください。

澤 川魚を一度素焼きして、しょうゆ、砂糖、酢で煮汁が無くなるまで煮上げた、昔ながらの保存食です。魚本来の味を活かすよう薄味に仕立て、さんしょうでアクセントを付けています。圧力釜を使わず、弱火でじっくり煮るため、柔らかく、骨まで全て食べられるのが特徴です。昔、飛騨では物資を背負って運ぶことを負荷(ぼっか)と呼んでいました。一般的な甘露煮と差別化しようと、なじみのあるこの言葉を商品名にしました。

有限会社さわ ぼっか煮
――その他の商品展開は?

澤 20年程前から飛騨牛の昆布巻きを作り始めました。その後、発売した「味ざん舞」、「しぐれ煮」と合わせて、飛騨牛を使った商品の人気は非常に高まっています。お土産の購買パターンが変わり、多少高くても、気に入った物を自分用に買われる方が多くなりました。その流れに合わせて新商品を企画しています。今後は、新酒の絞りたての酒かすで煮た川魚や、牛すじを薫製にした珍味を商品化する予定です。

――商品の販売方法は?

澤 直売所や物産展での直販と、高山・下呂・白川村・奥飛騨の土産物店が中心です。昨年、台湾で行われた展示会に初めて出展した際には、子持あゆの「ぼっか煮」が特に好評でした。外国人観光客が増えている今、商品棚に多言語のPOP広告を置くなどして、外国の方へのアピールを強化したいと考えています。

有限会社さわ 飛騨牛味ざん舞
ネットを活用し直販に注力

――ホームページ(HP)を開設された目的は何でしょう。

澤 自社で養殖から加工、販売まで行うメリットをより生かすため、直販をいかに伸ばすかが重要な課題です。まずは商品の露出を増やして、知ってもらうことが必要だと思い、自社HPを開設しました。落ち着いた雰囲気で、高級感があって良いHPだと褒められます。最初は、電話とFAXでのみ注文を受け付けていましたが、3年前にネットショップを開設しました。

――効果はいかがでしょう。

澤 平均すると月に約10件、お歳暮などの繁忙期にはもっと多くの注文が入ります。HPを見て、電話をいただくことも多いですね。今年4月より、ヤフーショッピングでの販売を開始し、そちらからも注文が入り始めました。注文受付・発送の通知など、いかに迅速かつ丁寧に対応できるかが現在の課題です。

――フェイスブックも活用されていますね。

澤 全国各地で開かれる物産展やイベントへの出店を告知しています。また、親近感を持ってもらうこともフェイスブックの目的の一つです。お肉をスライスしている様子など、工場での作業を紹介したり、お客さまとのコメントのやり取りを通じてコミュニケーションに活用したりもしています。

ぼっか煮さわ
――今後の方針をお聞かせください。

澤 お客さまに安心して購入いただくためには、丁寧な情報発信とフォローが必要です。当社は、高感度の金属探知機や急速冷却機、従事者の健康管理など、ハード面でもソフト面でも安全対策に取り組んできました。まずは、これらの取り組みをHPで公開すること。そして、注文が増えてもスムーズに対応できる仕組みを整え、ネット経由の販売を拡大していきたいと考えています。

――中小企業のHP活用についてどのようにお考えですか。

春見 「自社を多くの人に知ってもらいたい」とお考えの関与先様に、HPの開設をお勧めしており、澤社長にもBESTホームページをご紹介しました。HPを開設されてから、それまで自社の中で考えていたものを、どのようにして外に向けて発信するか、どうすれば伝わるか、を常に意識されるようになったと感じます。 

福田 企業や商品について調べる際は、まずインターネットで検索します。自社を知ってもらうにはHPが最も効果的ではないでしょうか。安心して注文・取引するには、商品情報だけでなく、経営理念やビジョンも重要な要素です。HPを活用して、多くの関与先様に情報を発信していただきたいと思っています。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
有限会社 さわ
〒509-4422 岐阜県飛騨市宮川町西忍592-1
電話番号:0120-30-2173 
HP  http://www.bokkani-sawa.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

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