戦略経営者掲載コラム 2016年11月

1694年創業の老舗が取り組むホームページ集客戦略

日本瓦の発祥地、奈良県。斑鳩町にある孫七瓦工業株式会社は、元禄７年から続く瓦屋根のスペシャリストだ。屋根工事を主軸に、近年は瓦コースター、瓦ガーデニングといった新機軸を打ち出し、日本瓦の新たな魅力を創出している。清水良洋社長、ホームページ担当の上田みゆき氏、顧問税理士の中屋正行氏に話を聞いた。

３００年の伝統を誇る技と品質

瓦コースター

―― 成り立ちを教えてください。

清水　１６９４年に瓦の製造から始まり、１９６４年に屋根工事業として法人化しました。そこから時代の流れに合わせて太陽光発電、外装リフォームの施工と徐々に事業を拡げてきましたが、一番の柱は瓦屋根の工事であることに変わりはありません。住宅をはじめ、社寺仏閣や公共施設の新築・葺き替え工事、修理を年間２００件ほど行っています。

―― ユニークな新事業にも取り組まれています。

清水　瓦の良さをより身近に感じてもらいたいと、瓦の吸水性を生かした瓦コースターを販売しました。中でも冠位十二階シリーズは、複数のメディアに取り上げられるなど話題を集めています。瓦ガーデニングとともに今後拡大を見込んでいる事業です。

―― 強みは何でしょう。

清水　まず３００年を超える伝統と歴史、築き上げてきた信頼は何物にも代えられない強みです。そして工事の品質。見た目の美しさは大前提で、耐震性・耐風性が格段に優れるガイドライン工法で万全な施工をしています。基準は震度７の地震に耐え、最大瞬間風速 48メートルの中でも瓦がずれないこと。10年間の保証書を独自に提供しているのも、高い工事品質を自負するからこそです。

―― それだけ高い技術・技能を持った職人さんがいるということですね。

清水　将来的に内装のリフォーム工事への展開を計画しています。屋根工事で得たお客さまからの信頼、長いお付き合いをてこに、水回りや畳の入れ替えまで対応できるようにしたい。リフォームの営業品目を増やす際は、ＨＰに専用ページを設け、当社に管理を任せていただくことの安心感をアピールしていきたいと思います。

情報公開で信頼を勝ちとる

―― ホームページ（ＨＰ）をどのように活用されていますか。

清水　近隣地域の方に当社を知っていただく目的で、ＨＰを開設しました。当社には営業職がいません。営業職の代わりに24時間365日きっちり働いてくれるのがＨＰだと思っています。大切なのは、できる限りの情報をありのままに掲載することです。きちんとした品質の工事をお求めの方に当社を選んでいただけるよう、施工実績やお客さまの声、概算料金を公開しています。

―― ＢＥＳＴホームページの使い勝手は？

上田　素人でも簡単に使え、私自身スムーズに更新できるようになりました。ネット上では、発信する情報が止まってしまうと見てもらえません。ＨＰのお知らせ欄で新事業・商品を告知したり、トップページにリンクしているフェイスブック、ブログも含めて週に１回以上は更新しています。アクセス解析機能も定期的にチェックしていますが、雨が多く降った後にアクセス数が増えているのが目に見え、とても便利です。

―― 反響はいかがでしょう。

清水　当社にご依頼いただいたお客さまの半数はＨＰをご覧になっています。全ての広告媒体に「まごひちかわらで検索」と載せていますので、電話帳や広報誌で当社を知った方も、最終的にＨＰを見て電話をいただくケースが多くなってきました。この地で長年の工事実績があることや会長の褒賞歴、顔写真入りの「匠の紹介」が信用につながっているようです。

―― 今後の展開についてお聞かせください

清水　将来的に内装のリフォーム工事への展開を計画しています。屋根工事で得たお客さまからの信頼、長いお付き合いをてこに、水回りや畳の入れ替えまで対応できるようにしたい。
リフォームの営業品目を増やす際は、ＨＰに専用ページを設け、当社に管理を任せていただくことの安心感をアピールしていきたいと思います。

―― 中小企業のＨＰ活用についてお聞かせください。

中屋　ＨＰは更新が何より重要ですが、開設後の運用に行き詰まっている企業は多くあります。孫七瓦工業さまが成功している要因は、ＨＰ担当の上田さんが編集し、社長が確認するというしっかりした制作体制をとっていることでしょう。工事業者に仕事を依頼するお客さまは、適正価格か、しっかり工事をしてくれるのか不安を抱えています。それをＨＰでの情報発信により解消できているからこそ、多くの問い合わせにつながっているのではないでしょうか。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。