戦略経営者掲載コラム 2016年2月

ＨＰで情報をフルオープンにし顧客からの信頼を獲得

住宅の新築工事、リフォーム、社寺まで数々の施工を手掛ける株式会社建匠。戸塚一夫社長は３５年の職人・施工管理経験を経て５年前に独立。顧客や設計事務所からの厚い信頼をもとに着実に受注件数を伸ばしている。信頼を得るための同社の取り組みについて、顧問税理士の小林修氏を交えて話を聞いた。

柔軟な提案力と高い施工技術

――創業の経緯を教えてください。

戸塚　長年勤めていた工務店が廃業し、この先どうするか模索していました。１０年以上お付き合いがあるお客さまも多くいましたし、施工した物件のメンテナンをする責任がありました。その方々を困らせないためにも、じゃあ自分でやろうと。周りの人の後押しもあって独立を決意し、２０１１年に建匠を立ち上げました。

――主な事業は何でしょう。

戸塚　住宅の新築工事が主でリフォームが３割ほどです。新築部隊とリフォーム部隊に分かれて担当しています。設計部もあり、設計から施工までトータルで行うことができます。

――どのように受注を？

戸塚　新築工事のほとんどは設計事務所を介してお客さまと契約しています。請け負った施工に満足されて、継続してご紹介い
ただけるところが増えました。また、工務店時代のお客さまから増改築の相談を受けることもあります。

――会社としての強みは？

戸塚　まずは提案力です。予算内でいかにお客さまの要望に応えられるかが、我々の腕の見せ所です。職人の頃から馬鹿が付くほどの建築好きで、雑誌・新聞・テレビの情報は欠かさずチェックし、衛生管理者や宅建など様々な資格を取得してきました。長い現場経験と多方面の知識から、マニュアルどおりではない提案ができると自負しています。

また、伝統工法から鉄筋コンクリート造りまであらゆる施工技術を持っています。金物を極力使わずに木組みで建てた木造の建物は、東日本大震災の時もびくともしませんでした。現在、施工中の円形の茶室も他ではなかなかできない斬新な建物です。お客さまの夢や希望を実現できるよう、常にチャレンジ精神を持って取り組んでいます。

情報の透明性が信頼に

――ＢＥＳＴホームページを導入された理由を教えてください。

戸塚　お客さまが見て安心できるホームページ（以下ＨＰ）を作りたいと小林先生に相談したところ、紹介していただきました。見栄えが良く、スマートフォンに対応している点が気に入りました。更新も自由にかつ簡単にできるので大いに活用しています。

――工夫した点は？

戸塚　ごまかしが利かないように見積書でも何でもフルオープンにするのが当社の方針です。ＨＰでもほぼ全ての施工事例、業績、お付き合いのある設計事務所を紹介しています。さらに完成形だけでなく現場の状況も分かるよう、Ｆａｃｅｂｏｏｋと連携させて、工事や検査の様子を毎日写真に撮り、その日のうちに公開しています。

――反響はいかがでしょう。

戸塚　お客さまはよくご覧になっていて、「今日はどういう工事をしたのかが分かって良かった」と喜んでいただいています。我々監理者が必ず現場に行っている証拠にもなり、安心感につながっているようです。また、ＨＰをシビアに見られるのは初めて取引する設計事務所の方。施工事例や工事中の写真をプロの目で見た上で、「安心して任せられる」とお客さまを紹介していただけます。

――今後の活用法についてお聞かせください。

戸塚　トップページの動画を変更したり、随時手を加えながらより集客力を高めていきたいです。我々も創業して５年。徐々に実績ができて信頼していただけるようになりましたので、エンドユーザーであるお客さまと直の取引もできればと考えています。家は一生に一度の買い物です。安心して当社に任せていただくために、お客さまの声の紹介など、一層充実した情報を発信していきたいと思います。

――中小企業のＨＰ活用についてご意見をお聞かせください。

小林　ＨＰは同業他社と差別化し、勝ち抜く武器になり得ます。ＨＰを持っていても、文字だけで埋まっていたり、メンテナンスがされていなければ見てもらえないでしょう。当事務所のＨＰでは、写真を多用して私の人となりや趣味を前面に押し出していますが、それを見て共感して来てくださる方が多くいます。ニーズが多様化する顧客の心を掴むには、遊び心や雑学も必要です。日進月歩で進化する今の時代に置いていかれないよう、多くの企業さまにＨＰの活用を推進していきたいと思います。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。