障がい者、高齢者、児童と事業領域拡大し地域に貢献

障がい者、高齢者、児童と事業領域拡大し地域に貢献

姫路市の社会福祉法人 幸は、知的障がい者無認可作業所「野の花工房」からその歩みを始めた。2002年に法人化したのを皮切りに、今では特別養護老人ホーム、認知症や障がいがある方のためのグループホーム、障がい児デイサービスセンターなど幅広い福祉事業に取り組んでいる。「健全経営を続け、事業を存続させることは、働く人だけでなく、利用者の方々や地域の方に対する責任でもある」と話すのは、同法人を立ち上げ、理事長を務める金治ゆかり氏だ。同法人の目指すビジョンやこれからの戦略について話を聞いた。

求められていることを形に

――設立の経緯は?

金治 もともと姫路市の社会福祉事業団で障がい者支援の仕事をしていました。結婚を機に一度は福祉の現場から離れ、夫が経営する会社の経理を手伝っていたものの、障がい者支援をライフワークとしてやりたいと夫を説得。古くて使われなくなっていた社員寮を改装し、障がい者の皆さんとパンを焼く、知的障がい者の方のための作業所『野の花工房』をスタート。それが社会福祉法人 幸の前身です。とはいえ、私自身パンを焼いたこともなく、パン焼きを習いに行くところからでした。今思い返せば無謀なチャレンジだったかもしれませんが、当時はとにかく「障がいを持つ方が、少しでもいきいきと地域で暮らせるお手伝いをしたい」という気持ちでした。
『野の花工房』を開所して3年後、社会福祉法人として法人化。当時、「高齢者の方々に介護サービスを提供する施設は交通に不便な山の中ばかり。家族も気軽に通える、住み慣れた地域で暮らせる高齢者施設がない」という声を聞き、高齢者福祉にもチャレンジしてみたいと思い、開設したのが特別養護老人ホーム『なごみの里』です。

――介護事業への参入はチャレンジだったのでは?

金治 確かに障がい者支援と高齢者介護では異なる部分もありますが、根本的には「よりよく生きるためのサポート」であり共通点も多いはず。そういう意味ではプレッシャーや、躊躇はありませんでした。当時は特別養護施設もまだまだ少なく、姫路市からも地域に施設をつくりたいというニーズがありました。こうした情勢も後押しになったと思います。

――さらに児童福祉へと事業領域を広げられています。

金治 おかげさまで今では従業員も140名を超え、さまざまな事業に取り組ませていただいています。最初からここまで大きくするつもりはなく、事業に真面目に取り組んでいくなかで「こんなサポートがあったらいいのに」という想いが産まれ、それが新しい事業へとつながっていきました。
例えば、認知症グループホームは、特別養護老人ホームで認知症の入所者の方々をもっと家庭的な環境でケアしたいという思いから始めた事業。『はおとの森こども園』は障がい者福祉に取り組むなかで、支援が必要なお子さまもそうでないお子さまも、共に学ぶことが必要だと感じて始めたインクルーシブ保育のための保育園です。
福祉は、長い人生の中でいつかは必要になるサポートを提供する場です。地域で「ここがあるから大丈夫」と思っていただける場所をつくりたいと思って活動していたら、気がついたら今の規模になったというわけです。


新たな挑戦への体制づくり

――まだまだ取り組みたい課題や事業はたくさんあるようですね。

金治 はい。構想はたくさんあります。が、今はただがむしゃらに規模を大きくするのではなく、地盤を固める段階だと感じています。

――その理由は?

金治 課題として、まず挙げられるのが人材の確保です。福祉事業は、ただ施設というハコをつくればいいわけではなく、まずはそこに携わる人を集めないといけません。人数が揃ったとしても「利用者さまや家族のために何ができるか」を第一に考えられる人材でなければいいサービスは提供できないでしょう。一にも二にも、働く人が大切です。私たちの理念に共感して、一緒に利用者さまのことを考えていける人材の確保が、今大きな課題となっています。

――そのための取り組みは?

金治 まず、面接時にはじっくりとその人の価値観や考え方、どうして福祉の仕事を志しているのかなどをうかがうようにしています。キャリアや経歴だけを見るのではなく、応募者の方が何を考え、どんな人生を歩んできたかを重視した採用をしています。

HPは運用のしやすさがカギ

社会福祉法人 幸のホームページ

社会福祉法人 幸のホームページ

――HPの更新が頻繁ですね。

金治 HPは求職者だけでなく利用者さまの家族や地域の方に向けた発信の場として捉えています。頻繁に更新できているのは、各事業所のスタッフの努力の賜物です。施設数も事業内容も幅広いので、各セクションの担当が更新しやすい今のシステムはとてもいいと思います。
社会福祉法人は、社会福祉法の規定によって、決算書等の情報開示を行わなければなりません。そのため顧問の兵庫太和税理士法人さまのご支援をいただいて作成した決算書をHPで公開しています。また、アイ・モバイルのHPサポートは、無料で更新作業をしてくれる枠があるので、毎年発生する情報開示のための更新はまとめてお願いしています。意外と手間のかかることなので、とても助かっています。

――人材確保のためにHPを活用していく予定でしょうか。

金治 そうですね。求人戦略という点でもHPは重視しています。応募数を増やすためのHP整備はもちろんですが、動画を使ったSNSやユーチューブを通じた発信にも今後はもっと力を入れていきたいと思っています。
実際、HPを通じた募集によって、数十件応募があり面接に15人ほど進み、5名の採用に至った例もありました。ハローワークの求人と違い、気軽に応募できる動線が確保できたのが大きいと感じています。アイ・モバイルさんには、私たちが抱いている課題を解決するにはどうしたらいいかを相談できるので頼りにしています。


この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

左から箸隆行事務長補佐、金治ゆかり理事長、宮浦康高施設長

左から箸隆行事務長補佐、金治ゆかり理事長、宮浦康高施設長

社会福祉法人 幸
住所:兵庫県姫路市大津区吉美780番地
TEL:079-274-7530
URL:https://www.sachi-himeji.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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