園児の主体性を尊重し「チャレンジする心」を育む

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園児の主体性を尊重し「チャレンジする心」を育む

神奈川県厚木市にある子中保育園は、園児が自発的に持った興味・関心からリアルな体験に展開する保育実践を重視し、保育士と共に理想の保育を追い求めている保育園だ。大塚貴史園長(社会福祉法人喜慈会理事長)と大塚裕子副園長に、保育理念やホームページの活用方法について聞いた。

子供の「やりたい気持ち」を尊重

──保育園経営を始めた経緯は?

園長 保育士である私の母が経営していた保育園が母体です。母が高齢になったことを機に、平成16年に現在の場所に移転し、園舎を建て経営を引き継ぎました。そのとき私は役所勤めで、児童虐待関連の部署で愛情を受けられない子供たちに関わっていました。その関係で、もっと子供たち一人ひとりにじっくり関わってみたいという思いがありました。

副園長 私と園長は姉弟の関係です。以前は大学教員でしたが、2年前から保育園の経営に関わるようになりました。

園長 き継いだ当初は、小規模で園児数も少なく異年齢保育(年齢の異なる園児が一緒に交流する保育)を行いました。姉が経営に参加後、子供たち一人ひとりのチャレンジする気持ちを育てる保育理念を基本にしています。

副園長 去年の4月、新体制になったとき、職員みんなで保育理念をつくろうと考えました。企業の経営理念と同様、保育園の運営にとって重要なものだからです。保育士一人ひとりから「どういう保育がしたいか」考えを聞きました。その意見をまとめると「チャレンジ」がキーワードとして浮かび上がりました。チャレンジには、主体性や自己肯定感、好奇心や積極性が必要です。現在、社会的にも主体性が求められています。そこで「チャレンジする心、チャレンジする子を応援する心を育む」を保育理念としました。

──子供の気づきから保育をつくるということですね。

園長 当園では、同じ時間に同じ活動をする一斉保育を行いません。子供の自発的な遊びから活動を広げます。昨年、1歳児が本物のケーキを作りました。きっかけは砂遊びのお誕生会ごっこです。これを観察していた保育士が、おままごとの道具や絵本を室内に飾り、空き箱のケーキ制作を準備し、様々な取り組みを重ねて、本物づくりに至りました。食育コンテストで優秀賞もいただきました。

副園長 子供たちがミツバチとはちみつに興味を持ったことをきっかけに、東京農業大学の養蜂場に見学に行ったこともあります。
また「畑で抜いた雑草はどうなるの?」という子どもたちの疑問から、海洋汚染やプラスチックごみの再生、ゴミ収集に関心を持ちました。園周辺のゴミ拾いを子どもが自分たちで始め、資源再生センターに見学にも行きました。

──保育士の方が頑張っておられるのでしょう。

副園長 週に1回職員会議がありますが、話し合いは日常的にしています。それにより、クラス以外の子供たちの情報をお互いに把握し、保育に必要な知識や技術を共有しています。また、当園の保育士は本当に勉強熱心ですね。海洋汚染を例にあげると、子供たちの質問に答えられるよう、ウミガメやクジラが食べてしまうゴミの種類、海洋投棄されるプラスチックごみの量など勉強しています。

──園児たちの変化は?

園長 難しい活動や新しい取り組みにチャレンジし、それを楽しむようになりました。その姿がかっこいいので、小さい子は上の年代の子をお手本にし、真似しますね。以前は列に並んだり、お散歩に行ったり、運動したりするのを嫌がる子がいましたが、今はみんなどの活動にも積極的です。また、子供たちがやりたい遊びに没頭する時間を大切にしているので集中力が高いですね。

副園長 0才児から対話的な保育をしています。0歳児でも言葉を理解することができます。対話的保育によって保育士と信頼関係が築けるので、0歳児でも物事の善し悪しが言葉で伝わります。自分のことを自分でするという生活習慣も身に付きます。生活の上で受ける注意も少ないので、主体的に行動することができます。

理念や方針をネットで発信

──ホームページ開設の目的は?

副園長 顧問税理士の吉野太税理士事務所の松本真由美さんにBESTホームページ(TKC会員の関与先企業のみ利用可能)を紹介していただきました。これからの保育園経営は、自分たちの特色を情報発信し理解してもらうことが必須です。そのためにもホームページは重要なツールです。開設の目的は、当園がどういう理念・方針で組織を運営し、活動をしているか共有すること。それらに共感できる方と一緒に働き、共感していただける保護者と子どもと共に、日々の保育活動を行えることが重要だと思っています。

──今後の取り組みは?

副園長 新体制になって2年。今行っている施策は、定着するまで継続していきます。新しい取り組みとしては、まだリサーチの段階ですが、時差の少ない中国などアジア諸国の幼稚園・保育園とスカイプをつないで、子供を常に国際的な環境に置ければと考えています。世界にはさまざまな国があって、いろんな人がいることを感じてもらいたいからです。
ともあれ、生まれた時からネットがあり、パソコンがあるといった環境に恵まれた日本の子供たちが、成長してどんどん面白い事を思いついてくれたらいいなと思っています。

 

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

社会福祉法人喜慈会子中保育園
住所:神奈川県厚木市下荻野729−7
TEL:046-242-1668
URL:http://www.konakahoikuen.com/


(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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