ITマーケティングNews vol.13-2「ダイバーシティ(Diversity)に対する大いなる誤解」

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ITマーケティングNews vol.13-2

ダイバーシティ(Diversity)に対する大いなる誤解

生物多様性(Biodiversity)

生物多様性(Biodiversity)

ビジネス誌などで頻繁に目にするようになった「ダイバーシティ」。言葉自体は、ご存知の方が多いことだろう。

本来の意味は「多様性」である。ところが、日本においては「女性の社会進出」を促進する掛け声的な使われ方に終始しているように思える。例をあげると、大企業の経営者が「わが社はダイバーシティを推進しています!」と誇らしげに語った後に、管理職の女性比率が業界平均より何%高いとか、前期比で何%伸びたとか、その手の数値達成が「ダイバーシティ」の実績として続くのだ。

労働人口が急激な減少に向かう日本では、あらゆる産業で人材難が主要な経営課題になっているし、今後その傾向は一層強まる。女性の労働力が頼みの綱という現実を「ダイバーシティ」という流行りの言葉で説明すると、なんだか聞こえが良い(笑)

もちろん女性の活躍は一層進むべきであるし、資質や成果に関わらず女性のキャリアアップを阻む「ガラスの天井」を企業は積極的に取り除くべきであるが、やはりこれは「ダイバーシティ」の本質とは距離がある。

ダイバーシティの本質 = 多様な考え方・価値を尊重し受け入れること

ビジネスにおけるダイバーシティは、従業員の多様な価値観を尊重して受け入れることで、変化しつづける経営環境や顧客ニーズに対する対応力を高め、企業の優位性を創造することを指している。しかし、この概念・文化は日本社会には内在していない。もともと理解しづらい概念なのだ。

日本の学校、企業、地域社会といった集団生活に要求されるのは「ダイバーシティ」の対極にある「同質性」である。

「同質性」欲求は日本人の国民性とも言えよう。他人と同じだと安心する。クラスで一人だけ上履きの色やピアニカの色が違っていると、子供はなんとなく恥ずかしく感じるし、親は子供がいじめられたりしないかなんて感じてしまう。「同質性」はまた、無意識の行動原理になるほど標準的思考だ。小さな子供が、玩具であれ衣服であれ、親にねだる。

「何で、それが欲しいの?」と聞くと、「みんな持っているから」と返してくる。既に立派な同質性を備えている。この動機に対して、「みなが持っているからという理由は良くない。自分の考えを持て、自分の独自性を追求しろ。」と教える親は何%いるだろう。日本では、これを貫くと間違いなく生きづらい。だが、これこそが「ダイバーシティの本質」だ。

社員に同質性を求める企業は、自浄能力を失う

上述した通り、日本人の「同質性」欲求は国民性と言えるので、企業においてもこの性質は極めて重視される。業績への貢献や、新たな価値の創出などの成果を時に打ち消してしまうほど同質性要求は厳しい

空前の不正会計を長年繰り返していた某電機大手の例を見ても、粉飾のための利益水増し要求に、幹部が抗えなかった点に、ダイバーシティとは程遠い企業体質が垣間見える。日頃から、異論を封じられている企業においては、経営層の不正に対する自浄能力は期待できないということは理解しやすいのではないか。

ダイバーシティは、イノベーションを生み出し、企業の成長、競争力に繋がる


pic:東京お台場にある有名な商業施設 ダイバーシティ東京

pic:東京お台場にある有名な商業施設 ダイバーシティ東京

技術発明、先進的な取り組みによる革新をもたらした先駆者は、「同質性」に重きを置かなかった。他人と異なる考え、視点、思想に価値を見出し、それを追求することがイノベーションを生み出してきたのである。

人種のるつぼであり、人種、宗教、思想で多くの対立軸がある米国から、ITやバイオ創薬など、次々にイノベーションが生まれ、世界を席巻していく姿を目にして、日本企業も「ダイバーシティ」を取り入れ始めた。ベースが「同質性」文化であるから、異なる価値観の尊重は容易ではないが、正しく理解し企業文化に育てることができれば、その企業の将来は明るい。

なお、実物大ガンダム立像で有名な東京お台場の商業施設はDiverCity東京である。(山岸)


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(構成 / アイ・モバイル ITマーケティング研究所)

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