人材不足解消の切り札になる?ITを活用した働き方改革

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ITマーケティングNews vol.11

人材不足解消の切り札になる?ITを活用した働き方改革

人材不足は、現在多くの企業が直面している課題です。労働人口が減少する中、必要な労働力を確保するには、柔軟な働き方の導入による多様な人材の採用が打開策になるかもしれません。今回は、情報通信技術の発達に伴い普及しつつある「テレワーク」という新しい働き方について、そのメリットとITの活用方法をご紹介します。

テレワークのイメージ画像

■ 場所に捉われず働く「テレワーク」
「テレワーク」とは、tele=“離れたところで”とwork=“働く”を組み合わせた造語で、ITを活用して場所や時間に捉われずに働くことです。具体的には、自宅を主な勤務場所とする「在宅勤務」や、交通機関での移動中や喫茶店で仕事をする「モバイルワーク」などがあります。
クラウドサービスやチャット、Web会議といったITツールの進化によって、どこにいてもオフィス(会社内)と変わらない環境で仕事ができるようになり、テレワークを認める企業も増えつつあります。


テレワークが生み出す7つの効果

■「テレワーク」が企業にもたらすメリット
(社)日本テレワーク協会によると、テレワークが生み出す効果は以下の7つに集約されます。

中でも、中小企業にとって大きな効果は「優秀な社員の確保」ではないでしょうか。出産や育児、介護を理由に従業員が離職するケースは多々ありますが、長年勤めた経験も実力もある従業員が抜けるのは大きな痛手です。在宅勤務でこれまでと同様に仕事ができるのであれば、せっかく育成した人材の流出を防止できる可能性があります。

また、多様で柔軟な働き方を認めていることは、新たな人材を募集する際のアピールポイントになります。求人情報サイト「エン転職」が行ったアンケートでは、テレワーク経験者の67%、未経験者の半数以上がテレワークで働きたいと回答しています。求職者にとって、通勤が困難となるような転機が訪れても、継続して働ける環境は魅力のようです。さらに働く場所を限定しないことで、通勤圏に捉われず広く優秀な人材を募集することができます。

テレワークの導入は、中小企業が貴重な人材を確保・維持していく上で、1つの解決策になると期待されます。

ITの活用で実現できる「テレワーク」のための環境づくり


セキュリティ対策がされたパソコンのイメージ

テレワークは事務職、営業職、技術職など、幅広い職種で実施可能です。まずは、テレワークで行える業務を整理してみましょう。現在のやり方では難しいと思われる業務も、電子化やITツールの活用によってテレワークが可能になるかもしれません。ここでは、テレワークを導入するにあたって整備すべき仕組みと環境をまとめてみます。

(1)情報漏えい防止のためのセキュリティ対策
まず最も懸念されるのが、セキュリティ面でしょう。テレワーク用の端末には、ウイルス対策ソフトのインストールはもちろんのこと、フィルタリング機能でアクセスできるサイトを制限する、OSを常に最新の状態にする、許可なくアプリケーションのインストールができないようにするなど、情報漏えいを防ぐ対策が求められます。ハード面だけでなく、情報セキュリティポリシーを定め、従業員の意識教育も欠かせません。

(2)柔軟な働き方に合わせた勤怠管理
テレワークの勤怠管理では、オフィス外から始業・終業時間の打刻を可能にする必要があります。クラウド型の勤怠管理システムを使えば、パソコンやスマートフォンから打刻・申請ができ、上司も部下の勤怠状況をリアルタイムで確認・承認することができます。最近では、PCなどの操作ログを自動で収集するツールも登場し、勤務実態をより正確に把握できるようになりました。テレワーク勤務者は就業時間が不規則になりやすく、また、さぼっていると思われないよう必要以上に働きすぎることもあります。過剰労働を防ぐためにも、様々な働き方に適応した勤怠管理システムが求められます。

オンラインで会議しているイメージ画像

(3)円滑なコミュニケーション方法の確立
オフィスで働く同僚や他のテレワーク勤務者とのコミュニケーションは業務の遂行に不可欠です。「Skype for Business」などオンラインで会議に参加できたり、チャットツールで円滑に報告・連絡・相談ができる環境を整えましょう。専用アプリがあるものを使えば、外出先でも スマートフォンやタブレットで手軽にコミュニケーションを取ることが できます。

(4)目標と評価の明確化
テレワークで行う業務の中には、成果を数値化できないものもあります。その場合は「いつまでに」「何を」「どれだけ」行うか、仕事の内容と目標を明確に設定し、成果を適切に評価する仕組みが必要です。テレワーク勤務を理由に不当な評価を受けることは避けなくてはなりません。スケジュールやタスクの進捗管理ができるクラウドサービス等で、上司とテレワーク勤務者間で進捗状況を随時共有し、間をおかずフィードバックやフォローを行うことが大切です。テレワーク勤務者のモチベーションと生産性を高める上で、最も重要なポイントと言えるでしょう。

欧米諸国に比べると、日本のテレワーク普及率はまだまだ低いのが現状です。企業、従業員の双方にメリットがあり、かつ従来のオフィスでの一体感を維持できる、日本型のテレワークのあり方を検討する時期にあるのではないでしょうか。


私自身もテレワークの経験者です。家族の看護で東京を離れざるを得なくなった際、テレワークの仕組みがあったおかげで離職することなく実家で仕事を続けることができ、無事、職場復帰を果たせました。オフィスにいない分、行った仕事のみで評価されるため、成果物に対する責任感は高まります。電話や突発的な依頼へ対応する必要もなく、オフィスにいるよりも集中して仕事ができたと思います。働きたくても通勤ができない状況にある多くの人のために、制度の拡大を望みます。テレワークの導入可能性について検討することから始め、まずは1週間に1日からなど、少しずつ前例を作ってみてはいかがでしょうか。(ITマーケティング研究所 川上)


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(構成 / アイ・モバイル ITマーケティング研究所)

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