【海外ビジネスアイデア第10回】今一番ホットなサービス”ピンタレスト”

今、シリコンバレーで一番ホットな企業の一つは、ピンタレストです。2011年の5月にサービスが始まったばかりで社員数は20人ほどなのに、成長著しく、すでに4000万ドル近い投資を集めています。

 伸び盛りの新サービス

ピンタレストとは、「ピン」と「インタレスト(興味)」を合わせた造語で、インターネット上のピンボードに興味のある画像をピンで留めていくというサービスです。他の利用者はそれを見て、自分のボードに「リ・ピン」して自分をフォローしている友だちなどと情報を共有できます(ツイッターのリツイートのようなもの)。  

他の人がピンをつけている画像には「いいね」ボタンが押せ、そうすることで友だちだけでなく、会員すべてに情報が共有されます。 ソーシャルメディアと一口にいっても、サービスにより違った人につながり、異なる行動が起こります。ツイッターは短いつぶやき、フェイスブックは友だちとの会話、そしてピンタレストは画像の共有です。

ディドール・ナガヤマは、「キュレーター」(CuratorSF.com)という小さな洋服店の社長ですが、先日話を聞く機会がありました。ハイテク企業に勤める人が多く住む、サンフランシスコの高級住宅地、ノエバレー地区に店があります。  

彼女は、多くの小規模企業の経営者と同じように、ソーシャルメディアなど使う暇はないと思っていたそうです。

中小企業の武器になるか

ピンタレストの画像共有は、一般消費者をターゲットとする事業や、小売業にとって、強力なツールになりそうです。ナガヤマ氏は言います。「フェイスブックとは違う次元で、いろいろなことができます。どちらも売り上げを伸ばしてくれるけれど、ピンタレストに、より可能性を感じます。商品情報だけでなく、デザインや店の持つビジョンを画像で伝えることができます。私はデザイナーなので、インスピレーションを得られるような写真や絵を探しては、パソコンに保存していました。今はピンタレストがあるから、もうしなくても良くなりました」  

私もピンタレストに入って、いくつか画像をピンでとめたところ、4時間で、40回も画像が「リ・ピン」され、11回「いいね」ボタンが押され3人の見知らぬ人にフォローされました。ピンタレストの「oliver chubb」で検索して、私がピンで留めたボードをどうぞご覧ください。  

ピンタレストは単独のウェブサイトとしては最も成長著しく、今年1月にはすでに会員が1000万人を突破しました。手作り、趣味、インテリア、ファッション、ウエディングが人気で、ユーザーの82%は女性です。現在、画像共有サービスとしては、アメリカ・フランス・南アフリカ・オーストラリアでナンバーワンです。サイトの滞在時間は平均17分で、利用者がじっくり画像情報を見ていることがわかります。ピンタレストは今や、女性向け生活雑誌のサイトより、多くのアクセスを得ています。まだエラーも出ますし、使い勝手の悪いところもあります。著作権への懸念も言われていますが、ほとんどのブランドは、信頼性を上げ自分のサイトへ誘導できるものとして、ピンタレストの活用に積極的です。SNSを活用するオバマ大統領も、ピンタレストを使い始めて、話題になっています。  

オープンしてから10日で、12371人ものフォロワーを得たようです。

時間を投資する覚悟が必要

もしあなたの商品やサービスが女性の購買者が多く、ビジュアルが重要なら、ピンタレストを検討すべきでしょう。建築家・写真家、食品・ファッション・美容院・ネイルサロンなどはぴったりです。日本の美容院でも、ヘアスタイルのカタログとして使われています。

ほとんどのソーシャルメディアと同様、無料でできるのですが、時間を取られるので、始める前には時間を投資できるかを確かめておくべきでしょう。  

これまで、シリコンバレーを中心として生まれた、ビジネスのやり方を根本的に変えるような新たな潮流をご紹介してきました。企業として成功していくためには、世の中の動きに敏感になり、今何が街で起こっているのか常に理解すべきでしょう。ピンタレストのようなサービスも、中小企業に大きな影響を与える可能性を秘めているのですから。  

過去10回、共同購入のグルーポンやソーシャルメディア、データのバックアップなど、さまざまな話題をご紹介してきました。記事はすべて、ITマーケティング研究所サイトに掲載しています。ご一読いただき、質問や感想などをいただければ幸いです。  

【翻訳】アイ・モバイル株式会社 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

オリバー・C・チャブ
アイ・モバイル株式会社 取締役
 

アメリカニューヨーク州生まれ。スタンフォード大学MBA取得。
日商岩井で東京都都市開発プロジェクトを行い、日本の環境庁で政策提案を行うなど、日本で幅広い経験を持つ。
数々の会社を立ち上げ、アメリカのパートナーにアドバイスを提供する。サンフランシスコ在住。

last update:5月2日

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