【海外ビジネスアイデア第8回】ネット上に「我が社」があることの大切さ

私のかかりつけの歯医者さんは、しっかりした(素晴らしいというほどではありませんが、十分な情報が掲載された)ホームページを持っています。スタッフの写真・医院への行き方・お問い合わせ先・治療方法・初診であれば記入して持っていくべき問診票などが掲載されています。始め、Yelp(イエルプ)という地域のクチコミサイトでこの医院を見つけ、良いクチコミに惹かれてホームページを見ました。きちんとしたプロの治療が受けられるという印象でしたので、連絡をして通院を始めたのです。

HPがないことの不利益

一方、私と妻が子どもを入れることを検討したプレスクールには、ホームページがありませんでした。それで、行くのをやめようかと思ったのですが、友人がとても強く勧めたので、何とか電話番号を見つけて連絡しました。申込書を送ってもらうよう頼んだものの、まだ届きません。他のプレスクールは、ホームページからすぐに申込書がダウンロードできたり、メールで送ってくれたのですが。  

もしあなたが小規模のビジネスを営んでいて、お客様も完全に把握できているのならば、インターネットで人とつながる必要を感じていないでしょう。しかしこのプレスクールの例のように、もしかすると応募者を失うこともあるわけです。今の顧客より、もっと上得意客になるかもしれないのに。  

弊社の大きな事業が中小企業向けホームページサービスの提供ですので、このような事に触れるのは少しためらいますが、アメリカでも多くの中小企業がホームページを持っていなかったり、あってもひどいものだったりします。それには驚くばかりです。

ROBO原則とは…

私や妻、またほとんどの友人は、よく「ROBO原則」に沿って行動します。つまり「Research Onlineand Buy Offline:オンラインで調べて、オフラインで買う」です。インターネットで見つけられなかったり、あってもみすぼらしいものなら、いいものだとは信じられず、ふつうは店でも買おうとしません。  

よく知っている会社でも、電話番号をホームページで探すことはありますし、インターネット上で正しく存在していないと現実での接点も失います。最近知ったアメリカの中小企業を対象とした調査には、驚くような結果が出ていました。13%しかホームページに電話番号を掲載しておらず、24%しかメールアドレスを知らせていないというのです。36%は、ホームページがあるといっても、たった一ページの情報だけでした。

〞訪問〞が価値を生む

〝訪問〞が価値を生む自社のホームページに来てもらうことは、どれだけ価値があるでしょうか。実は、非常に簡単に測れます。人々がホームページに来るための一クリックに、企業がいくら払うかを見れば良いのです。グーグルの広告は、一クリックごとに料金が発生します。これをPPC(Pay per clickクリック課金)と呼びます。何の言葉についての広告かによっても大きく値段は変わり、たとえば右記のようになっています。  

「弁護士」という言葉を一回クリックするだけで、44.75ドルもしますが、顧問料を考えると、理解できないことでもありません。「配管工」というキーワードの料金は、18.90ドルです。これだけ払ってでも、検索サイトで見つけてほしいという配管工の人が多いということです。また、配管工をインターネットで探している人もたくさんいるということでしょう。キーワード広告は、ホームページに来てもらう事が大きな価値を生むということを表しています。これだけの広告料金を払う人がいるということですから。

顧客との接点をつくろう

マーケティングで最も費用対効果が高いのはSEO(検索エンジン対策)やソーシャルメディアでの広告と言われていますが、いずれにせよホームページがないことには始まりません。持っていないのは、機会損失です。別の調査でも、小規模の会社はアウトバウンドの展示会・広告・ダイレクトメールなどよりは、自社のホームページやソーシャルメディアを活用するインバウンドのマーケティングに予算を多く取って新規顧客を獲得しています。※  

話を、まとめてみましょう。新しい情報があって、見た目がよく、携帯やスマートフォンに対応して、ソーシャルメディアとも連携している…そのようなホームページを何とか持ちたいものです。そうでなければ、顧客との接点を失っているわけです。もしあなたがデジタルの世界となんら縁がないとしても、世の中の人はインターネットの中で、あなたの会社を探すでしょうから。  

*HubSpotのThe 2011 State ofInbound Marketingより  

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【翻訳】アイ・モバイル株式会社 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

オリバー・C・チャブ
アイ・モバイル株式会社 取締役
 

アメリカニューヨーク州生まれ。スタンフォード大学MBA取得。
日商岩井で東京都都市開発プロジェクトを行い、日本の環境庁で政策提案を行うなど、日本で幅広い経験を持つ。
数々の会社を立ち上げ、アメリカのパートナーにアドバイスを提供する。サンフランシスコ在住。

last update:3月2日

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