【海外ビジネスアイデア第7回】BtoB企業でもできるソーシャルメディア活用術

あなたの会社がプラスチック射出成型を扱っているとすれば、フェイスブックでセールをしたり、グルーポンの共同購入クーポンを出すのは難しいでしょう。この連載の第2回でご紹介した、カップケーキ店と同じようにはいきません。  

そう、もし卸やコンサルタント、重厚長大な製造業や建設業だったら、売り上げを伸ばすために、ソーシャルメディアをどう使えばいいでしょうか。BtoC企業ほど簡単でないとしても、既存顧客に真っ先に思い出してもらい、新規顧客に見つけられるBtoB企業になる、良い方法はないでしょうか。

今は多くの人がインターネットで調べ物をします。そこで見つけた情報で、あなたに専門性があり、顧客に役立っていると思えば、話しを聞きたくなるでしょう。あなたのイメージが、出来上がります。 

最近、アメリカの製造業を対象にした、ソーシャルメディア活用に関する白書が出ました。いろいろなウェブサイトや媒体に調べていますが、何を目的にするかによって、効果も異なるようです。ブランドの認知度向上には、92%の企業がユーチューブ、78%の企業がフェイスブックが良いと答えています。

ビジネスにおいては、既存顧客にも新規顧客にもブランドの便益を伝えることはもっとも大切ですから、効果があるなら力を入れる価値もあるでしょう。役に立つ投稿をたくさん掲載し、業務に関する動画をホームページやブログ、ツイッターで紹介すれば、みんながあなたから買いたくなるはずです。しかし、言うのは簡単ですが、現実にはみな忙しく、ほとんどの中小企業は人も時間も足らず、ブログを毎週更新するような余裕はありません。それなら、他の人が作った情報を集めて提供するといった方法も、悪くはありません。ホームページでも、週刊メルマガでも、ツイッターでつぶやくのもいいでしょう。世間の情報を、うまく活用すればいいのです。博物館や美術館には、キュレーターと呼ばれる人がいます。専門知識をもって資料や作品を収集して、あるテーマで見せていきます。同じように世の中の情報を集めて、あなたの業界テーマでまとめれば、専門性を伝えることができます。  

簡単な例を紹介しましょう。今回私は、何ら知識のないプラスチック成型の業界を見てみました。ソーシャルメディアを活用している例としてすぐ出るようなところではないのですが、私がプラスチック成型の会社を経営していると仮定して、良い情報がないか、次の分野で探してみました。

最新ニュース

参考となるニュースを探し、ホームページに載せたり、メールで配信したり、ツイッターでつぶやきます。グーグルで「射出成型のニュース」「2011年12月」と検索すると、54件ヒットしました。また、関連する出版物、企業、材料、データベースなどを厳選して紹介したサイトも見つかりました。

ブログ

もう一度グーグルで「射出成型」で探すと、素晴らしいブログが何件か見つかりました。とても詳細な解説があるもの、最新の情報を掲載しているもの、業界サイト「プラスティックツゥディー」もありました。ここではフォーラムも開催されており、討論できる場があります。こういった情報を紹介するだけでも、それを探している人たちに有益です。

グループ

リンクトイン(経歴や現在の勤務先を明らかにして情報交換をするソーシャルメディア。アメリカで2011年5月に上場)に行けば、「射出成型」に関わるグループがあります。「射出成型フォーラム」と検索すれば、すぐに三つ見つかります。

背景情報

ウィキペディアを見ても、「射出成型」について概要を理解することができますし、回転式成型をしているカナダの企業として、カナダのD&Mプラスティック社のような情報量が多く、この業界への深い造詣や専門性の高さが伝わる良い例も見つかりました。この会社のホームページで、回転式成型とは何なのか、初めてわかりました。  

D&M Plastics社が豊富な技術情報を掲載しているサイト

書籍サイトのアマゾンには、「射出成型」について3000以上の本があります。気に入るものも、他の人に勧めてみたいものも見つかるでしょう。

動画

「射出成型」についての動画が、ユーチューブに4450もあります。また、そういう動画を掲載している、独自のホームページが数え切れないほどあります。小さな家族企業である、J&Mエンタープライズ社は、そこで扱う機械の動画を自社ホームページで掲載しています。「プラスティックツゥディー」のフォーラムでは、次のような投稿をしていました。  

「ユーチューブは、手軽に使える最高のソーシャルマーケティングです。プラスチック成型をしている小さな製造業が、ツイッターやフェイスブックをやったって、誰もフォローしようとは思わないでしょう。誰もね。でも、動画をユーチューブに出せばどうでしょう。おもしろく作れば、みんな熱心に見てくれますよ。」  

JM Enterprises社 You Tubeの動画を活用  

フェイスブックを使っているようなら、あなたが良いと思った記事や情報を週に一度くらい(時間は5分程度)投稿してみましょう。ツィッターで、つぶやくのもいいでしょう。興味を持ったホームページをお知らせするだけでも、見込み顧客が、あなたの知識と専門性に感心するかもしれません。良い情報を集めるのも、戦略です。情報そのものを作る時間がなくても、うまく集めて見せれば、あなたの能力を示すことができます。今回、「射出成型」という、あまりセクシーとは言えない例を出しました(関係企業の方が読んでいらっしゃるようなら、失礼)。しかし、情報通の人なら、自分の専門性を示すためにコンテンツを探して発信するのは簡単で良い方法だと思います。MAPIの調査に次のような回答がありました。「ソーシャルメディアは、コミュニケーションの進化の形です。これを無視することは、顧客がeメールで連絡しようとしているのに、ファックスだけ受け付けると言っているようなものなのです」  

この記事への感想や疑問、今後興味のあることなどがありましたら、ぜひお知らせください。  

【翻訳】アイ・モバイル株式会社 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

オリバー・C・チャブ
アイ・モバイル株式会社 取締役
 

アメリカニューヨーク州生まれ。スタンフォード大学MBA取得。
日商岩井で東京都都市開発プロジェクトを行い、日本の環境庁で政策提案を行うなど、日本で幅広い経験を持つ。
数々の会社を立ち上げ、アメリカのパートナーにアドバイスを提供する。サンフランシスコ在住。

last update:2月3日

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