【海外ビジネスアイデア第4回】中小企業でも使える手軽な決済システム

これからご紹介するのは、まだ日本にはないものでしょうが、皆様がビジネスを考えるときの刺激となればと思います。日本の読者の方々が、このサービスに可能性を感じられるかどうか知りたいところです。ページの下に、簡単なアンケートがありますので、どうぞ回答してみてください。アイ・モバイルのフェイスブックへの投稿も歓迎です。フェイスブックなら、アメリカにいる私でも、簡単にチェックできますからね。  

クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどは、消費者にとって便利なものです。 使えばポイントもたまり、現金を多く持たずにいられます。しかし、商売をしている側にとっては、審査や料金体系の複雑さなど、やっかいなこともあるでしょう。iPhoneやiPadを生んだアップル社は、「シンプルにすること」を戦略として成功してきました。今、それに続くように、クレジットカードをシンプルに使うという会社が、新しく出てきました。

 誰でもシンプルにカード決済

私の家から500メートルほどのところにある、カフェポンテという店でランチを取っていた時のことです。気候の良い今、サンフランシスコの気持ちの良い空気を楽しもうと、外で食べることにしました。支払いをする際、店員のマイクがiPadについた「スクエア」で、私のクレジットカードを挟みました。すると、カードが読み込まれ、サインの画面が現れました。  

サインをすると、彼は私に領収書をeメールでほしいか聞いてきました。送信されてきたレシートには、金額だけでなく、どこで何を注文したかや、支払った場所の地図、商品の写真なども記載されていました。  

スクエアは、誰でも利用できます。アメリカでは寄付金集めのために学校で手作りのケーキやクッキーの販売をする伝統的なイベントがありますが、そんな時でもクレジットカードが使えるのです。

クレジットカードがたまにしか必要でない、小さな店を経営している人でも利用できます。用意するのは、アップルかアンドロイドのスマートフォン、またはiPadのようなタブレットPCだけ。5分で登録をし、カードリーダーをヘッドフォンジャックに差し込み、専用アプリを開くだけの設定です。カードリーダーもアプリも無料です。決済に必要な手数料は、アメリカでは2.75%だけで他には何もいらない、という点も魅力的です。初期設定料、月額利用料、登録料、安いサービスにしたときの変更手数料、早期解約料など、クレジットカード会社がよく徴収する費用も、全くかかりません。審査もありません。月額最低利用料といったものも取りません。一番いいのは、細かな条件や料金を気にしなくていいこと、面倒でないことですね。

増える新サービスの利用者

似たような商品はいくつかあり、インツィート社がつくるものや中国でも何社か出しているのが見られます。クレジットカードに近い分野で伸びている決済システムを考えると、日本ではおサイフケータイやSuica、アメリカではグーグルウォレットやペイパスなどがあります。長期的には、みながこういった携帯電話やICカードでのデータ決裁に移っていくかと思われます。ですが、少なくともあと10年くらいは、みな現金を入れたお財布を持つでしょうし、ポイントがたまるクレジットカードも使い続けるでしょう。いかに低価格で手軽に、クレジットカードでの決済を可能とするかが重要です。 スクエアのようなやり方は、大量にカード決済をして店のPOSシステムと連動させるような大企業には、向かないようです。しかし、クレジットカード会社の複雑な料金体系に苦しむ企業、そもそもカード決済をしていない中小企業にとっては、採用しやすいでしょう。実際、スクエアでは、5月には一日に200万ドル、7月には400万ドルの決済があったそうです。2年前にできたばかりのサービスが、これほど使われている理由は、次の二つだと思います。  

1.シンプルに使えること  

2.利用前に費用がかからず、気軽に試すことができること  

スクエアは、Twitter共同創設者の一人、ジャック・ドルセイ氏が創業しました。Twitter創業者ということで多くの資金を集め、ビザやマスターカードなどの支援を受け、この画期的なサービスを実現しました。通常のクレジットカード利用ができない小規模事業にサービスを広げています。ユビキタスインターネットやスマートフォン、タッチスクリーンといった新しい技術が、昔からあるクレジットカードのシステムをいかに陳腐に見せるかという良い例です。  

【翻訳】アイ・モバイル株式会社 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

オリバー・C・チャブ
アイ・モバイル株式会社 取締役
 

アメリカニューヨーク州生まれ。スタンフォード大学MBA取得。
日商岩井で東京都都市開発プロジェクトを行い、日本の環境庁で政策提案を行うなど、日本で幅広い経験を持つ。
数々の会社を立ち上げ、アメリカのパートナーにアドバイスを提供する。サンフランシスコ在住。

last update:10月31日

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