【海外ビジネスアイデア第2回】ソーシャルネットワークを地域で生かす

韓国料理を移動トラックで販売する、ロスアンジェルスの「コーギバーベキュー」は、ツィッターに9万人フォロワーがいて、どこで焼き肉が食べられるかをチェックしています。  

ビバリーヒルズにある「スプリンクルズカップケーキ」は、フェイスブックで30万人が「いいね!」ボタンを押してファンになっています。この原稿を書く2時間前、このカップケーキの会社はフェイスブックにお知らせを載せました。 「甘辛の、ソルティーキャラメルカップケーキを本日販売。〝甘辛〞とお店で店員にささやいた最初の50人に無料で1個プレゼント!また、フェイスブックにコメントを書いてくれた50人にも、抽選で一個プレゼント!」  

今、すでに505件もコメントが投稿されています。コメントを書けば、その人の友だちも見ます。フェイスブックの利用者は、平均130人〝友だち〞を登録しているそうですから、50個の無料カップケーキの話が、6,500人にクチコミで広がっているのです。〝甘辛〞という暗号を知るために、みな頻繁にフェイスブックを見るでしょう。来店促進にもなりますし、店に行けば50人を過ぎていても、何か一つは買うでしょう。   

 アメリカの中小企業では、インターネットの活用として、今もホームページが一番使われています。が、検索エンジン最適化(SEO)に加え、ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)利用の伸びが大きく見られます。過去3年半で3倍になり、今や3分の1の企業が活用しています

そこには顧客がいる

 ウィリー・サトンという、有名なアメリカの強盗は、「どうして銀行強盗をするのだ?」と聞かれて、「そこに金があるから」と答えたそうです。企業が、SNSに注目するのは、「そこに顧客がいるから」でしょう。最近では、アメリカ人がインターネットに接触する時間の25%は、SNSのサイトです。若い世代だけではありません。65歳以上でも、約3割が利用しています (eMarketer.comより)。  

中小企業もSNSで、既存顧客との関係を深め、新規顧客を見つけています。 フェイスブックの「いいね!」ボタンは、友だちからのクチコミ情報に似ています。企業間ビジネスでも、SNSを使って、専門的な意見を述べて顧客の信頼を得るなどの効果を出しています。  

SNSの定義は広く、実際のサービスとしてもフェイスブックやツィッター、各種のブログサービス、地域単位のフォースクエア、google+などたくさんあります。個人的な趣味や仲間との情報交換の場としての利用が多いよううですが、先日上場したリンクドインは、ビジネス用のSNSであり、ユーザーは自分の仕事や経歴を公開し、仕事関係の人脈構築など、「つながり」に役立てています。

SNSで関係作り

人間関係を良くするためには、十分な時間を投資すること――無視せず話を聞く、興味を示す、双方向に会話をする――が必要です。  

フェイスブックやツィッターのアカウントを持つだけでは、ソーシャルメディアマーケティングとは言えません。顧客に関係のある、おもしろい話ができるか、そのための時間を使う事ができるかが重要です。  

レストラン事業を見てみましょう。アイリッシュパブのツィッターでは、ラグビーの試合が店内の大きなテレビで放映されていることや、スペシャルなビールについてつぶやいています。ファミリーレストランでは、特別な日に来店した2人目のお子さんは50%割引にすると言っています。高級イタリアンレストランでは、店のオーナーが料理の作り方をビデオで見せ、有機農法の食材について詳しく語っています。すべてレストランですが、話の内容は全然違います。特にアメリカのレストランは、食べることがソーシャルなので、レストランのマーケティングにとって、ソーシャルメディアは最も重要なのです。  

地域で仕事をしている会社は、SNSで「つながり」や「ファン」を得て、直接ビジネスにすることが可能です。大企業ブランドもできないようなことです。いくつかの例を見てみましょう。

新規顧客獲得

サンフランシスコにある「ジョワドビーブル」というチェーンホテルは「夏のカリフォルニア祝祭」キャンペーンのために、火曜日にツィッターを、金曜日にフェイスブックを開きました。期間中、ツィッターのフォロワーには火曜日ごとに、フェイスブックのファンには金曜日ごとに割引を提供をしています。さらに安い特別割引については、指定の一時間だけ予約可能にしています。SNSのキャンペーンがなければ空室になっていた、1000室が予約されました。

ファンを増やす

ある商品のファンは、それが大好きなので、友だちもファンにしてしまうことがあります。ホンダアメリカでは、フェイスブックのファンに、びっくりするようなキャンペーンをしています。  

今ではファンの数は120万人にも達しています。

顧客の不満に対応する

ドミノピザのフランチャイズオーナーは、ピザが届くのが遅れた、注文と違う、という否定的なコメントがツィッターに寄せられた時、ビデオでそれについて回答しました。責任ある対応として有名となり、17万5,000回も視聴されました。

時間限定の告知をする

ロスにあるランチをトラックで移動販売する会社は、フォロワーに今日はどこに駐車すべきか、投票してもらっています。多くのトラックが来ている競争の激しい場所でも、ファンに確実に買ってもらえるというわけです。  

地元に根差した中小企業は、顧客が近くにいるはずです。労力はかかるかもしれませんが、実際に顧客と会話をして時間を割いているのであれば、SNSでも良い関係をつくることができます。SNSの利用は、時間を取られるものです。しっかり決断をし、生かしていきたいと思うなら、まずはみんなが聞きたいことが何かを考えて情報発信をしていきましょう。  

ご感想や疑問、今後興味のあることなどがありましたら、ぜひお知らせください。 お待ちしております。  

【翻訳】アイ・モバイル株式会社 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

オリバー・C・チャブ
アイ・モバイル株式会社 取締役
 

アメリカニューヨーク州生まれ。スタンフォード大学MBA取得。
日商岩井で東京都都市開発プロジェクトを行い、日本の環境庁で政策提案を行うなど、日本で幅広い経験を持つ。
数々の会社を立ち上げ、アメリカのパートナーにアドバイスを提供する。サンフランシスコ在住。

last update:8月31日

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