スイーツ激戦区で話題を呼ぶ洋菓子店の集客戦略

菓子店が集まるスイーツの激戦区、愛知県東海市に8年前開店したのが「ラ・パレット・オム・テツ」だ。カフェを併設した広い店内には色とりどりのケーキ・焼き菓子が並び、季節のフルーツをふんだんに使ったパフェはSNSでも人気を呼んでいる。「常に新しい話題を提供する店でありたい」と語るオーナーシェフの近藤哲郎氏に人気の秘密を聞いた。

付加価値でブランド力を高める

――お店のコンセプトを教えてください。

近藤 「“人と人とのつながり”をテーマに嬉しい時・楽しい時のお手伝い」が当初からのコンセプトです。パレット上の絵具のように、素材、味、色、香り、サービスすべてを混ぜ合わせて、ケーキを囲む幸せな時間をお手伝いしたいという思いを店名に込めました。


――こだわりは何でしょう?

近藤 バターや卵、小麦粉など素材の特性を熟知し、それを最大限生かした調理をするのが信条です。例えば、食感や質感を左右する粉を、お菓子によって使い分けているのもその一つ。レモンケーキをはじめどっしりタイプの焼き菓子は、粉のうま味が残るようにグルテンの多い強力粉を使い、噛み応えがありながらしっとりと仕上げています。

――力を入れている商品は?

近藤 ショーケースで一番大切にしているのはバースデーケーキです。ホールケーキをみんなで分け合って食べる、これは絶対になくしたくない。決まったデザインはなく、パティシエがお客さま一人一人を思いながら毎回違ったデコレーションをするんです。似顔絵やキャラクターのリクエストにも対応し、絶対可愛くしようと心を込めて作っていますので、とても喜ばれています。また、私の子もそうだったのですが、卵・乳製品アレルギーの子にもケーキでお祝いして欲しいという願いから、アレルゲンとなる素材を除いたバースデーケーキを開発しました。その場合も同様のサービスを同じ価格で提供しています。

――カフェも人気ですね。

近藤 洋菓子店として生き残るにはケーキ自体の魅力以外に付加価値が必要だと考え、カフェを設けました。イチジクやキウイ、ぶどうなど地元農家さんから直接仕入れた旬のフルーツたっぷりのパフェが人気で、それを目当てに来られる方が多くいます。人と人がつながる場になればと、占いやネイル、耳つぼの先生を招いたコラボレーションイベントも継続して行っています。「また何かやってるね」と常に話題にしてもらえる情報発信基地になるのが目標です。





HPで情報発信し認知拡大

――開店後、間もなくホームページ(HP)を開設された理由は?

近藤 まずは幅広く色んな人に当店を認知してもらうのが目的でした。きちんとしたHPがあるお店と食べログの情報しか出てこないお店とでは信頼度が違います。HPはどんな遠方の人にも情報を届けられるし、お客さまに対する店の姿勢を示す不可欠なツール。当店がどんなお店か知っていただくため、イメージカラーであるピンクをベースに、店舗の外観や内装、扱っているケーキ・お菓子、取り組みを全て盛り込んだHPを作りました。


――認知拡大に効果はありましたか?

近藤 開設後1年経った頃から、HPを見て初めて注文される方や、占いイベントへの問い合わせが増えました。中でもバースデーケーキの注文が際立って多く、新規のお客さまの開拓に大いに役立ったと思います。今では、一人で30個のキャラクターケーキを描く日もあるほどです。アレルギーの方の会員カード登録も300名を超えました。HPでの情報発信により、当店の特徴・思いが浸透し、ブランド価値を高めてくれたと感じています。


――認知が浸透しつつある今、これからのHP活用方針をお聞かせください。

近藤 今後はページ数を絞り、広く浅くではなく、「狭く深く」知っていただけるHPに変えていきたいです。例えば、開店以来の看板商品である「オムテツロール」はシンプルなお菓子だけど、その裏に秘めた思いやしっとりさせるためにどれだけこだわっているか、そこに焦点を当て掘り下げて伝えれば魅力がさらに引き立つはずです。商品の写真や口コミがSNSで広がる時代だからこそ、当店のHPでしか手に入らない情報がより重要です。オーブンから出てきた焼き上がりの、湯気が出て表面がてかったお菓子の写真などお客さまが知らない情報を公開していきたい。長く愛していただくための発信の場として活用したいと思います。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
ラ・パレット・オム・テツ
住所:〒477-0037 愛知県東海市高横須賀町6-24
電話番号:0562-85-3324
HP:http://www.palette-sweets.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

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