HPを足がかりに海外市場の開拓に挑む

横浜に本社を置く東西機器株式会社は、昭和16年の創業以来、ディーゼルエンジン部品の製造を手掛けてきた。材料調達から加工・組み立てまでの一貫生産体制を武器に、新しい分野への進出を目指している。その足掛かりとして、青木仁社長がまず取り組んだのがホームページ(HP)の整備だ。その狙いと効果について、押田吉真顧問税理士、曲山正弘監査担当を交えて聞いた。

一貫生産で高品質な製品を提供

――どのようなものを製造されているのですか。

青木 主力は船舶用のディーゼルエンジン部品です。中でもシリンダーヘッドに組み込まれる排気弁は、エンジンの心臓とも言える重要な部品で、非常に高い精度と品質が求められます。当社では要求に応じてミクロン単位の加工ができ、過酷な環境にも耐えられる耐熱性・耐摩耗性に優れた製品を製造しています。大手造船メーカーにも長年部品を供給しており、豪華客船から漁船まで大小様々な船舶で広く使われています。


――強みは何でしょう。

青木 最も大きいのは、材料調達、熱処理、溶接、加工、組み立てを一貫して請け負える点です。一連の製造工程を全て担えるところはほとんどありません。特に硬度の調節に重要な熱処理は、温度管理が難しく熟練の技術が必要です。当社は、硬度・成分検査まで自社で行い、高い品質基準をクリアした製品を提供できます。

また、工程ごとに受注できる強みもあります。溶接のみ、組み立てのみでも受けられる。要望が多様化する中、今後はこうした単体の仕事も増やしたいと考えています。


――現在の課題は?

青木 リーマンショック以降、売り上げの大きな割合を占めていた大手造船メーカーへの販売が落ち込み、船舶用エンジン部品以外に新たな主力製品を確立することが急務です。そのためには当社が自ら売り込んで仕事を取ってこなくてはならないのですが、請負営業しか経験のない当社にとって、宣伝やアピールは最も弱い部分。会社案内さえなかった状態で、取引先の開拓に乗り出しました。

HPが新規取引先の開拓を支援

――そんな状況の中でHPを開設されましたが、きっかけは?

青木 シンガポールの展示会に営業で行くことになり、そこでの宣伝を目的に開設しました。現地の法人に当社や製品を紹介するにあたり、情報を盛り込んだHPがあれば、説明ツールとして使えると思ったんです。実際に排気弁のサンプルを持って5社ほど説明にまわった結果、3社から引き合いが来ました。

――HPでアピールされている点は?

青木 やはり品質ですね。良い製品を作っていることが伝わるよう、できるだけ多くの写真を掲載し、製品や設備、技術などを紹介しています。

曲山 工場の中や作業の様子も載せると雰囲気が伝わり、仕事の受注につながるのではと提案しました。青木社長、アイ・モバイルと作り込みを重ね、会社や事業の内容がよく分かるHPになったと思います。

――取引先開拓の効果はいかがでしょう。

青木 今まで全く接点のなかった会社から問い合わせが来るようになり、新たに取引がスタートしたところもあります。そのうちの一つは、当社が扱う弁棒で最も大きいサイズを購入いただき、高額な取引となりました。最近も、他社で断られたという難しい弁の相談を受け、現在試作中です。HPが上手く機能すれば大きな仕事にもつながるので、さらに反響を高めていきたいです。

――今後のHP活用方針をお聞かせください。

青木 まず即座に行うのは英語版HPの公開です。まだわずかですが海外との取引も始まり、問い合わせへ対応するためにも当社の技術や何ができるかを海外に向けて説明する必要がでてきました。あとは、船舶に限らず、どんな分野の仕事もできることを強く打ち出したい。ここ数年は油圧ジャッキなども手掛けていますし、他にも溶接技術を使えば金属の球やお箸、何でも作れます。過去の製品事例や動画によって技術力のアピールを強化し、今までに作ったことのない製品分野へ広げていきたいと思います。

――押田先生は、中小企業におけるHPの役割についてどうお考えですか。

押田 今は大手の下請けであっても安泰ではありません。東西機器さんのように自ら営業して仕事を取らなければならない時代です。企業対企業の取引において最も重視されるのは信用力で、HPはその度合を測るバロメーター。HPを持っていない会社は、その時点で競争に負けてしまいます。会社の信用力を付けるためにHPは必ず必要ではないでしょうか。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
東西機器株式会社
住所:〒425-0052 静岡県焼津市田尻2339-7
電話番号:054-623-1328
HP:http://www.tozaikiki.co.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

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