土佐酒に特化したネットショップで全国に拡販

太平洋を望む高知県桂浜のほど近くにコンビニエンスストア「Yショップとき」はある。生活必需品を取り揃える一方で、地酒の品揃えは群を抜いている。同店の運営する「たま~るか土佐酒」は、土佐の地酒を紹介・販売するサイトだ。経営者の土岐威氏、顧問税理士である森木税務会計事務所の森木將雄所長、森木俊光氏、岡崎徹也氏に話を聞いた。

利酒師が選ぶこだわりの酒

――開業の経緯を教えてください。

土岐 代々薪や米、ほうきなどを売るよろず屋を営んでいて、約20年前に現在のコンビニエンスストアを開店しました。Yショップはボランタリー形式で仕入も自由にできてやりやすい。酒が好きで、最初はワインを扱い始めました。でも、土佐にしかない酒を売るんだったらやっぱり日本酒だろうと、勉強して利酒師の資格を取り、力を入れるようになりました。コンビニでこれほどの種類の酒を置いているところはないと思います。

――土佐酒の魅力は?

土岐 淡麗・辛口とよく言われますが、甘く感じる酒でもとにかく切れ味が良い。飲んだことを忘れるぐらい味が残ってないんです。だから飽きずに次々飲みたくなる。それが土佐で好まれる酒の大きな特徴です。高知には18の蔵元があり、それぞれ造り方や味わいが違います。本流の純米酒にこだわる司牡丹は、口当たりが良く雑味のない味わい。漁師町にある久礼は、鰹のタタキに負けない力強い濃い味。美丈夫は女性好みのサラッとした飲み口。そういった個性豊かな美味しい酒を紹介できるのも魅力です。

――品揃えのこだわりは?

土岐 土佐酒の中でも特定名称酒と呼ばれる純米酒や吟醸酒に力を入れている蔵元のものを多く扱っています。自分で飲んで、味を利いた上で選んだこだわりの品揃えです。他ではあまり手に入らない酒もあります。店の近くの酔鯨酒造に純米大吟醸山田錦という最高級の酒がありますが、その中でも、もろみを袋の中に入れて重力で自然に滴り落ちる滴だけを集めた斗瓶取は大変貴重です。このような希少な酒を仕入れられるのも、日頃の蔵元さんとの関係が大きく影響していると思います。

専門サイトで全国から注文が

――「たま~るか土佐酒」を開設した理由を教えてください。

土岐 人口の減少・高齢化が進む中で売上が徐々に下がり、業績を伸ばすためにも土佐酒を全国に発信して売りたいと考えました。中途半端で終わるのが嫌で、やるからにはとことんやろうと岡崎さんとも相談し、BESTネットショップ特別集客コースに決めました。自分で作るのとは全然違い、綺麗なサイトができ満足しています。「たま~るか」は驚いた時に使う土佐弁です。土佐酒の美味しさに感動し、驚いて欲しいという思いからサイト名に付けました。 

岡崎 店舗での販売だけでは厳しく何か打ち手が必要でした。電話で注文を受けて配達する地域密着でやっていましたが、土岐さんが年齢的に厳しくなってきた。それに代わるものがネットショップだと考え提案しました。

――工夫された点は?

土岐 「土佐酒入門」や高知の人の吞み方を紹介した「土佐流土佐遊び」など、他のサイトにはないページを設けています。まずはそこを入口に楽しんでもらいたい。あと人気があるのは「酒蔵訪問記」。私が酒蔵を訪問して社長や杜氏にどんな酒造りを目指しているのか、何に力を入れているかを聞いて紹介しています。やっぱり造り手の気持ちとかこだわりを知るのは面白いですよね。私も思ったことを飾らずにそのまま書いています。

Yショップとき
――ネットショップの反響は?

土岐 月間1000名くらいの方に見てもらっているようです。アクセス数からするとネットショップからの売上はまだまだですが、伸ばせる余地があると思います。酒が最も売れる時期は、年末と父の日です。実際に父の日の贈り物用に2本セットにして販売したところ、パパッと即座に売れました。ネットショップで注文いただくのはほとんどが県外の方で、配送に5日かかる離島からの注文もありました。

――今後の活用についてお聞かせください。

土岐 最終的には店舗を上回るぐらいの売上にすることが目標です。選んでもらいやすいよう、各商品の特徴やお勧めする理由など店主の気持ちをもっと入れて紹介したい。岡崎さんはじめ事務所の方々が消費者の気持ちに立ったアドバイスをしてくださるので、それらを生かしてより充実したサイトにしていきたいと思います。 森木俊光 酒蔵訪問記は読んでいて非常に面白い。読んだ人がそこのお酒を飲みたくなった時に、ワンクリックで商品ページに飛べるようにすれば買いやすくなるのでは。最近の消費者は分かりやすい評価値などで判断する傾向にあるので、土岐さんのお勧め度によってマークを付けるのも面白いと思います。 

岡崎 数字の面でも徐々にですが良い兆しは見えています。じわじわ~とお酒を飲むように伸びていくことを願っています。 

森木將雄所長 小売店の場合、店舗だけではどうしても地域に市場が限られる。より広げていこうと考えた時、全国の人に販売できるネットショップは最適なツールではないでしょうか。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
Yショップとき
〒781-0262 高知県高知市浦戸711番地
電話番号:088-841-2557
HP http://www.tosazake.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

次の記事へ 前の記事へ

株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。