常に時代に先駆けIT化に取り組む老舗釣具店

東京都内に2店舗を構える創業36年の釣り具店「つり吉」。近場でのファミリーフィッシングから大物狙いの船釣りまで、幅広い品揃えで多くの釣りファンに愛されている。オンライン販売をはじめ、常に時代に先駆けてIT活用を進めてきた同社の常務取締役、前浦利光氏に現在の取り組みと今後の展開について聞いた。

コアな釣り好きも唸る品揃え

―― 「つり吉」を開業されたのはいつでしょう。

前浦 釣り好きだった祖父が、昔から衣食住の〝食〟を担ってきた釣りの文化は今後も途絶えることはないだろうと、昭和56年、足立区に綾瀬本店を開業しました。まだまだ釣り具の種類も少なかった当時としては珍しい大型店でした。その後、2004年に江戸川区に2店舗目をオープンしました。

――品揃えのこだわりは?

前浦 特に力を入れているのが船釣り関連で、関東近海から、沖縄や青森への遠征に必要な道具もすべて揃っています。中でも、クロマグロのような200キロ級の魚を釣るための特殊な糸、仕掛けなど、量販店にはない大物釣りの品揃えは当店の自慢です。それらを求めて遠方から来店されるコアな釣りファンの方も多いです。

――オリジナル商品も販売されていると聞きました。

前浦 「FRONTIER(フロンティア)」というブランドで、オリジナルロッド(竿)・仕掛けを販売しています。どんな大物にも折られないことを目指して開発したグラスソリッド製のロッドは、非常に強固で粘り強く、300キロの重さに耐えられます。本当に折れないと口コミで徐々に広がり、全国から注文が入るようになりました。他にも、高級魚のクエを釣るための仕掛けであったり、他のメーカーが作っていないニッチな商品を手掛けています。

――集客のために大切にされていることは?

前浦 趣味の道具を扱う小売店ならではのアットホームで居心地の良い雰囲気づくりを心掛けています。店員もみんな釣り好きばかり。お客さまに寄り添ったアドバイスなど、マニュアルどおりではない親身な対応が、評価につながっていると自負しています。また、接客の中で聞き取ったニーズや要望を、商品開発・仕入れにどれだけ反映できるかも、お客さまの支持を獲得するるうえでの重要なポイントです。

有益な情報をネットで拡散


―― 
かなり前からホームページ(HP)を開設されているとか。

前浦 ネットが普及し始めた2000年にはすでにHPを開設していました。オンラインショップを導入したのもその頃で、釣り具業界では当店が先駆けです。時代の流れを読み、当時注力していたカタログ販売から、いち早くインターネットにシフトしました。

―― 「BESTホームページ」に切り替えられた理由は?

前浦 市販のソフトで作成したHPが、他店に比べて見劣りするようになったんです。自前ではクオリティーに限界があり、更新もできていない状態で……。そんな時、「BESTホームページ」を使っていた知人の会社に紹介され、切り替えを決めました。専門知識がなくても簡単に編集できるのが一番の魅力だと感じており、季節やセールに合わせてバナーを変更したり、新製品が入荷した際は必ず更新しています。

―― 多くのアクセス数がありますが、工夫されていることは?

前浦 アクセス解析から「仕掛け」に関するキーワードで検索している人が多いと分かり、「仕掛け図」のページを充実させています。魚の種類ごとの仕掛け図を、釣るためのテクニック付きで解説している人気コンテンツです。ユーチューブにも針の結び方の動画を投稿したり、フェイスブック、ツイッター、LINE、インスタグラムからも発信しています。有益な情報を無償で提供することで、まずは当店を広く認知してもらい、最終的に来店やオンラインショップでの購入につなげるのが狙いです。

―― 今後どんな活用方法を?

前浦 全国各地の船釣りの釣果情報をHPでリアルタイムにお知らせしたいですね。加えて、「今なら荒川で手長エビが釣れます」など地域に密着した情報も配信し、釣りに行きたいと思う人を少しでも増やしていきたいです。また、現在の課題は、HPの効果が見える仕組みづくりです。仕掛け図のページを印刷して持ってきてもらえれば、店員が必要な道具をすべてそろえるというように、HPからの来店が分かる施策を考えています。

―― 抱負をお聞かせください。

前浦 釣り人口が減る中で、いま必要なのは若年層を取り込むことです。ポケモンGOが流行りましたが、デジタル世界の中ではなく、実際に生きているものを捕獲する方が何倍も楽しい。自然の中で魚と触れ合い、釣った魚を食べておいしさに感動する。その楽しさを若い方にも伝えていきたいです。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
株式会社つり吉
住所:〒120-0005 東京都足立区綾瀬2-41-4 
電話番号:03-3603-1130
HP:http://www.tsurikichi.com/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 川上 陽子)

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