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【特別講演】カシオ情報機器 前社長 前田憲一氏「思う事こそ勝利の原点である」

2011年4月20日、アイ・モバイル東京本社にてカシオ計算機グループの販売子会社、カシオ情報機器前社長の前田憲一氏にお越しいただき、ビジネスにおける勝利の原点について講話いただきました。豊富なご経験をもとに情熱的にお話しされ、参加者に強い印象を残されました。

営業に必要な能力とは?

みなさんこんにちは。私は学校を卒業してカシオ計算機に入ってから、40年間、さまざまな経験をしてきました。講演のテーマになる引き出しはいろいろあるのですが、今日はごく基本的な話をしたいと思います。ITやマーケテイング、営業といったことについては、みなさんよく勉強されているでしょうが、知識や技術の前に、それを支える「考え方」や「人としての姿勢」といった、仕事の基本についてです。  

我々が身につけないといけない力は、3つの能力です。  

第一の能力は、まず知識。商品の知識、取引の知識、会社の動向など。これは営業として当たり前の知識ですね。 次の能力は、それをどうやって相手に伝えるかという力。コミュニケーションのスキルです。 そして、最後に一番大事な第三の能力。これは、人間がもっている資質、気質。その人自身ということです。態度、あいさつ、マナー、気配り。これがなってないとダメです。売れている営業、そうでない営業の違いは正にそこにあります。

今でも忘れられないエピソードがあります。  

ある新入社員が、初めての受注をしました。 1年後に彼は配属が変わったのですが、配属が変わった後にも関わらず、彼はそのお客さんの誕生日に小さな花と誕生カードを贈っていたのです。  

そのお客さんは、非常に感動されて、その一件を社長である私に報告くださいました。  

ちょっとした事かもしれませんが、私が言いたいのはこのへんの事です。  

これが本能的にできる人、気配り、目配り。結局こういう人が、営業として成功しています。  

ナンバーワンセールスの素質は「お客さんに好かれる」人。つまり、第三の能力が長けている人。人間そのものが好かれることが必要です。これは、日々の生活全般、家族、友達との関わりでも言えることです。人間性を高めることで、結果ビジネスに繋がってくるのです。

勢いが不可能を可能にする

どんな商品にも課題はあります。パーフェクトの商品はありません。パーフェクトの商品があれば、営業はいらないんです。  

売る売れないは、商品ではありません。売る人の気持ち。これが大事。  

会社の業績が良いか悪いかは、営業次第なんです。これは、実際に販売している人だけを営業と言っているのではありません。内勤でもお客さんと接点のある人は全て営業です。社員全員営業です。  

「池の中の石は動かないが、川の中の石は動く。 勢いは不可能を可能にする」という言葉があります。事業というものは、ある時うねりを持って拡大する時がある。  

僕はよく経験してきました。  

動かない水には、ゴミやらあぶくが溜まってくる。こういう溜まったゴミを拾っていても次から次へと出てくるものです。そのゴミを拾うことに執着するのでなく、勢いよく水を流せばゴミもあぶくも流されます。進んで行くことが大事なんです。  

最初のスタート、思い切りが大事。  

ムード、勢い、雰囲気。どっと流れをつくれば不可能を可能にします。細かい話をいつまでも詰めていても流れが出てきません。  

そんな話をしているより、勢いをつけてください。すると、ぐたぐた言っていた人も、「やろう!」と言います。  

「理屈よりも勢いが成果をもたらす 《勢いに求めて、人に責めず》」上に立つ人は勢いを意識してください。

環境で人は変わる

人間は、環境に適応する能力があります。これは本能です。 本人にこうやろう、ああやろうと言うのではなく、この方向に向けたいと思うのであれば、 環境を変えることが大事です。それも見える形で。  

例えば、ムードがよくない人があれば、その人をあれこれ改善しようとするのではなく ムードの良いチームに入れてしまうのです。良い環境に人を置くことで自然と人は変わります。

心とは何か?

人が動く時は、理屈ではない。どんなに正論で理路整然に述べても部下はついてこないものです。では、どういうときに人は動くのか? 心が動いた時です。

心が動くとやる気が生じ、人はついてきます。 

 では心とは何なのか?  

心とは、過去にいろんなことをやってきた経験の集積そして潜在意識の和合体です。潜在意識 これは今日のキーワードです。潜在意識は、自分でもわからない。無意識化で人の行動に直接影響を及ばすものです。 

人の行動は潜在意識と顕在意識という2つの意識によってコントロールされています。 そして直接行動に影響を及ぼすのは、潜在意識なんです。

どんなに会議で頑張ります、やりますと言っても 潜在意識がそう思っていないと行動にはあらわれません。  

昔、大阪で働いていた時の話ですが、部下がいつも通勤途中の駅でお腹が痛くなっておりてしまい、会社に来れないのです。  

これは、潜在意識が体をコントロールして会社に行かせないようにしてたんですね。 本人は「そんなことはない」と言うのです。会社に行きたくないという潜在意識に気付いていないんですね。潜在意識はこのように、本人の意識にのぼらないのに行動をもコントロールしてしまうのです。怖いですね。  

しかし、顕在意識から潜在意識に働きかけ、潜在意識に暗示をかけることができます。 ポジティブシンキングといいますが、常に脳に働きかけることで潜在意識も変わってきます。

スポーツの例ですが  

水泳オリンピック選手、北島康介さんの話。彼のコーチは常に、  

「君のゴールは泳ぎきってタッチして、電光掲示板の1位の結果をみることなんだ」と何度も言っていたそうです。脳はそのように認識すると、体もそのように動くんです。  

イチロー選手もうまく脳と体をコントロールし、結果を出していることで有名です。  

僕も「楽一」を売っていた時によく部下に言っていました。  

「量は質の母である。」  

まず数。すくない数でいいスキル、いい質は無理です。数をこなすことで、質がついてくるのです。  

人の行動は潜在意識がコントロールしますが、潜在意識は顕在意識によってどうとでも変えることができるんです。  

脳の細胞の中、潜在意識の中で思考のうねりができてくる時は、寝ているときでも脳が考えてくれます。もちろんぐっすり寝ているわけで、細胞レベルでの話です。  

東大の大脳生理学者の時実利彦教授によりますと  

「人間の理解・適応・創造の機能は大脳新皮質系の箇所で営まれ、これに対し人間の情動行動は大脳辺縁系で営まれる」と書いておられます。  

つまり、大脳の中でも潜在意識と顕在意識は、別の場所にあると言っておられるわけなんです。つまり、今自分の頭の中で考えていることが全てではないということです。  

自分の意識にあがってこない、潜在意識が行動を邪魔してる場合があるのです。  

心から本当に心底、真剣に思ったものは、必ず相手に伝わるんです。  

人間は思った通りの人間になる。脳の仕組みを理解してください。  

「私はできる」 そう考え、強く思い続けている人が結局は勝つのです。  

思う事こそ勝利の原点である!必ず、成功する。  

思う事で無意識にセットされれば、素晴らしい力になる。  

自分の大事な体の一部である「脳」。これを理解して是非活用してください。

前田 憲一  


1971年カシオ計算機に入社、1992年カシオ情報機器の設立に伴い事務処理専用機「楽一」事業の立ち上げに従事、企画、開発、営業のすべての担当部署で統括責任者を歴任した。2002年4月から2010年8月まで同社の代表取締役社長。現在は経営アドバイザーとして活躍中。(前田経営研究所 東京都中央区)

last update:5月27日

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