基礎編 最終回 ネットを活用したプロモーション

「インターネット広告は安い」という先入観は間違いである。例えば新聞折込チラシの場合、折込料金は一部5円くらいだろう。検索連動型広告の場 合、キーワードにもよるが、クリック単価50円.500円といった価格帯である。チラシを折り込んだからといって読まれるわけではないので単純に比べるこ とは難しいが、インターネット広告が単純に安いわけではないことは間違いない。  

しかし、インターネットは情報を届けるべき人を多様な視点で絞り込むことができる。情報を受けとった後の、行動する確率を劇的に上げることが可能なので ある。これにより、結果として顧客獲得単価は低く抑えられる。 また折込チラシなどは、その成果や効率を評価するのに数週間かかってしまう。仮説を立て、チラシをデザインし、エリアを検討し、広告実施して、何日か反 応を待つ。一方でインターネットは、思い立ってから掲載までが短時間で、広告の反応は数分.数時間で評価できるため、非常に短期間にPDCAサイクルを回 すことが可能だ。一日のうちに数種類の仮説を試すことが普通なのだ。  

短期間のPDCAサイクルは、大きな金額を浪費する前に成功パターンを発見できるというメリットがある。ただし、上記の通り、「絞り込み」「短期間の仮 説検証サイクル実行」をできる人材と組織体制が重要である。

 検索連動型広告がお奨め

SEOとは「検索エンジン(Yahoo!やGoogleなど)最適化」の略語で、検索エンジンに対して最適化することによって、自社のホーム ページを検索結果ページの上位に表示させることを言う。インターネットには大量の情報があり、日々更新され、増加している。御社の顧客ターゲットがイン ターネットという情報の「海」の中から御社の情報を簡単に見つけられるよう、検索エンジンに覚えておいてもらわねばならない。 どのように覚えてもらうのか? 「**」というキーワードで捜し物をしている人がいたら、うちの会社のパンフレットを渡してね。と検索エンジンに頼み、同じ頼み事をする競合よりも優先的 に紹介してもらえるようお願いをするのである。ポイントは二つで、  

1.適切なキーワードを選択すること。  

2.同じキーワードを選定した競合よりも「良いホームページ」だと、検索エンジンに評価してもらう事。

である。 SEOのテクニックを教える本やホームページは山のようにあるが、テクニックを追いかけるのは専門家に任せ、経営者は上記二つのポイントのうち、 1.に集中して、顧客ターゲットに手渡すパンフレットの工夫に時間を割くべきだ。ここで言うパンフレットとは、検索エンジンで捜し物をしている人が最初に 見る御社のページの事である。けっしてトップページを最初に見せてはならない。探している人のニーズにピッタリあったページを用意しておくのである(これ をランディングページという)。 SEOという方法で首尾良く検索エンジンに覚えてもらえれば、極めて広告宣伝費が安く済むが、競合との戦いに勝ち続けるためには優秀な人材を投入し続け なければならないため、高い人件費がかかる。そもそも優秀なSEOエンジニアを雇うことは難しい。さらに、検索エンジンに覚えてもらうのには時間がかかる ため、即効性は期待できない。 そこで、検索結果ページの表示を広告として買う方法がある。これが検索連動型広告である。検索キーワードごとに広告を購入でき、またクリックされたとき にしか課金されない成功報酬広告なので、投資のロスは少なく広告効率が高い。技術的な知識があまりなかったとしても、キーワードの選定とランディングペー ジの工夫を継続的にし続けることによって広告効果の維持が可能である。中小企業にはお勧めのプロモーション手法である。

 ツイッターでの情報が急増

そのほかのネット広告手法を羅列してみる。(バナー広告)  

バナー広告とは、インターネットでよく見られるページに御社の広告看板を出す、という形の広告である。これは、雑誌広告や交通広告に似ている。インター ネットらしいのは、広告効果の測定が安易で、リッチな(カラフル、動きがある、動画を流せる)広告が可能なところだ。(メール広告)  

良く読まれるメールマガジン(メールによる定期購読誌のようなもの)に広告を出すことをいう。 読者の属性が合致すると効果が高いが、配信時刻や読まれやすい場所に表示されるか?などに注意が必要である。また、文字表記だけなので、一見で内容が分か る工夫も必要だ。(メルマガ)  

既存顧客とのコミュニケーションには有効。顧客のいつもの行動を考えて配信先(PCか携帯か)や配信時刻、内容を工夫する。(プレスリリース)  

ネットでのプレスリリースも有効な手段である。一回3万円程度で数千のネット・ニュース会社に 自社のニュースを伝えることができる。数社に取り上げてもらえれば露出は数万.数十万部にもなる。(ソーシャルメディアの活用)  

最近はSNSの活用も盛んである。人は情報を探すときに検索エンジンを頼る傾向から、友人知人による紹介を優先しつつある。よって、ソーシャルネットワー クに入り込んでいくことも重要である。(アフィリエイト)  

紹介手数料を払うことで、自社の情報を紹介してもらう仕組みのことを言う。A8(ファンコミュニケーションズ)、バリューコマースなどの専門業者がある。  

最新、広く話題になっているのは、Twitter(ツイッター)である。 ツイッターは140文字の入力をネットで配信するサービスだ。極めてシンプルなサービスだが、好きな人の発言を気軽にフォロー(読者登録すること)できる ため、情報の受け手が急激に伸びている。

インターネットの出現は、人の情報入手ルートを変化させてしまった。テレビや新聞からだけだった従来の情報入手ルートが多様化し、変化している。プロモー ションの主流になっているメディアには、「ローコスト」「容易な効果測定」「多様なターゲット絞り込み」という特徴がある。既存のメディア事業者にとって はイヤな変化だろうが、中小企業にとっては歓迎すべき変化である。この変化をチャンスとするために、経営者自らがITとマーケティングを学び、顧客視点の 情報を発信してもらいたい。

[ 戦略経営者(株式会社TKC発行) 2010年5月号記事 ]
執筆:アイ・モバイル株式会社 代表取締役 デービット・リーブレック
【プロフィール】
アメリカ、オレゴン州生まれ。
ジョージタウン大学でMBA取得。 大学時代には交換留学生として、早稲田大学ビジネススクールで学ぶ。東京銀行ロンドン支店P&G勤務後、コンサルティングのBooz Allen & Hamilton社(東京及びサンフランシスコ)のマネージャーを経て独立。
2000年にアイ・モバイル株式会社を創業。

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