厳しい景気状況、求められる経営判断
先日、日本銀行が景気の現状について、「持ち直しの動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」との認識を示しました。今まで「持ち直しの動きが続いている」としていましたが、下方修正したわけです。欧州の債務問題、米経済の減速、継続する円高など、経済の不安要素は大きいものです。
私も多くの中小企業経営者とお会いしますが、みなさん危機感を持ち、この荒波を乗り切ろうとされているのを感じます。まだ2-3年は、この不景気は続くのではないかとの話しもよく聞きます。
このような社会情勢の中、今までと同じようにしてはダメで、新しいやり方を試して売上アップの道を探らなければならない、またコストカットでスリムな経営体質を作らなければならないでしょう。
削減効果が大きい、日々のコスト
コスト削減を考える時、交通費・交際費・通信費が、社員が頻繁に使う三大業務コストとして、高い優先度で見直しが行われます。無駄な出張の削減、交際費の切り詰めなどはわかりやすいとしても、通信費はどのように削減することができるでしょうか。
企業が事業活動を行う為に、電話によるコミュニケーションはなくてはならないものです。
オフィスの固定電話だけでなく、急速に普及が広まった携帯電話を、社用携帯として付与されている企業も多いでしょう。実際、日本の携帯電話保有台数の約30%、3千万台は企業の契約です。現在、各キャリアは、顧客獲得に熾烈な争いを繰り広げています。様々なサービスや料金を提示しておりますので、経営者の方々は一度費用の見直し交渉をされるといいでしょう。
弊社においても、コスト削減の一環として、総務が回線ごとの料金プランの変更や社用携帯電話の貸与者の見直しを行い、通信コストを10%削ることができました。
携帯電話を貸与していない社員が、仕事で電話を使わざるを得ないときは、自宅の電話や私用の携帯電話を使う事になりました。その通信費を請求するときは、電話会社からの請求書明細を取り寄せて報告し、経理担当者が確認するという手間がかかります。
わが社では2011年9月末に「お仕事コール」というサービスを開始しました。これは、社員の私用電話を社用に使い、電話代の請求の手間を要にする、コスト削減と効率化向上を実現するものです。輸送業の運転手、製造業社員の現場スタッフ、新聞社の記者など、外に出て会社と連絡を取る必要がある様々な業種で、すでに導入いただいています。通信業者から届く請求書に毎度頭を痛めてきた中小企業のみなさんは、慢性頭痛が解消できるチャンスかも知れません。
無駄な費用を転化して、賢いお金の使い方をする
コスト削減は、ともすれば後ろ向きで気分を萎えさせるものになりがちですが、経営者としては戦略的に行い、従業員のモチベーション向上につながるようにすべきでしょう。以前私がいたある会社では、コピーの枚数を一枚単位で管理して無駄をなくし、コスト削減目標や達成結果を毎月各部署が報告していました。しかし、無駄なコストを減らす一方、従業員向けの誕生会は必ず開き、新しい事業を積極的に試していました。コスト削減が何につながるかがよく見えたので、従業員も納得し、積極的にコスト削減に協力したものです。
通信費はひとつのコスト削減の手段ですが、戦略をたててうまく実施していきたいものです。

若林保司
アイ・モバイル株式会社 エンタープライズ事業部長
1962年生まれ。コンパック・コンピューター、コンピューター・アソシエイツ、フォービス代表取締役社長、北欧の大手通信機器メーカーであるGNジャパン代表取締役社長を経て現在に至る。IT・通信業界に詳しく、日本のベンチャー企業から外資系企業まで、立上げの経験を持つ。GNジャパンでは、ゼロから10億円の売上実績を出し、「JABRAブランド」を構築する。良い経営者と言われるより「ベストセールスマン」と言われる方を好み、好きな言葉は「在緻密至成就」(よりきめ細かく緻密に考えた者が、必ず成功するという意味)。



