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【営業戦略 第12回】社員の力・組織の力をどう伸ばす

組織の成長が、目的の達成へつながる  

さて、このコラムも今回で最終回となります。
12回の連載の中で、営業手法や戦略を導くツールについてご紹介してきました。
自分自身や自分の会社についてわからないこと、プロジェクトや事業に関して見えないところを少しでも理解する助けにしていただければ幸いです。

最後の回は、個人の能力の開発、ひいては組織の成長について考えてみましょう。

常々私は思っているのですが、会社にとって永遠のテーマは

  1. People First  (人を第一に考える)
  2. Communication  (コミュニケーションを良くする)

ではないでしょうか。この二つをができていない会社は、ダメだと思います。

変わる人材教育の考え

ふりかえってみると、1980年代はバブル経済で世の中が成長し、大手企業は特に社員教育に力を入れていました。
大量に新卒を採用し、景気の伸びに追いつく人材を育てるために、教育や研修をする必要がありました。しかし、90年代に入ってバブルがはじけ、コストを抑える方向に変わると教育への投資は減ってきました。新卒の採用も抑制され、中途採用した社員を即戦力として活用するようになりました。しかし最近また、高度に発展し複雑になる世の中で、やはり社員の能力開発をしなければならない、という風潮が見られます。私が以前いた楽天株式会社では、インターネット企業という事もあり、ネットを使ったeラーニングでの研修が盛んでした。役職別のトレーニングも多数あり、損益計算書の見方といったビジネスの基礎について、80点以上を取らないと次に進めない、厳しくも有意義なプログラムがあったものです。

アイ・モバイル社では、オンザジョブトレーニングを中心にしつつ、外部からも経験豊富な第一線の方に講演をしていただいたりもしています。(カシオ情報機器の前社長、前田様のお話「思う事こそ勝利の原点」は、非常に含蓄のあるものでした。よろしければ、講演内容をご一読ください)。
また、中小企業向けの研修会社も利用して社員教育をしておりますが、最近そういった研修に行きますと、他企業からの生徒が増えています。中小企業でも、社員教育に力を入れる傾向にあるのだな、と感じます。

なぜ教育が必要か?

社員一人の力は組織の力となり、目標を達成するベースとなります。
下記の図のように、組織が力を最大化するためには3つの段階があります。すなわち、

  1. 現状のレベルから、知識やスキルを増やす
  2. 得た力を、自分のものとして定着していく
  3. 学んだことを応用し、変化しながら目標達成に向かっていく

組織の力でビジネスを伸ばす

部署によっても、必要な知識やスキルは変わってきます。目標を達成するために一番必要な力は何か、経営者や管理職はよく見極めたうえで人材教育を進めていくべきでしょう。たとえば、営業が必要な力といっても、いろいろあります。商品知識、ヒアリング力、コミュニケーション力・・・。あなたの組織の目標に応じて、どの能力を伸ばせばよいのか、戦略的に選んでトレーニングを強化すると良いでしょう。

また、コミュニケーション能力を強化することは、社員および会社にとって最重要の課題です。中小企業で少ない人数だから、お互いの力も考えもわかっていると思うのは陥りがちな間違いです。
私も以前、社員30人ほどの会社を経営していた時、少ない人数ながら壁を感じて、どうしたのだろうと考えこみました。
営業やマーケティングなどの部署が5つほどあったのですが、別々に行動してコミュニケーションも不足していました。そこで、外部の研修会社による、コミュニケーションについての1日セミナーを全員で受けました。
個人がそれぞれコミュニケーション力をつける方法、組織として情報を共有する手法などを全員で考えたのです
その後は、部署の中で縦串で情報が流れるだけでなく、部署を超えた横串のコミュニケーションも生まれ、30人全員が協力し合って目標を目指すようになりました。

繰り返しますが、①People First、②Communication は企業の基礎です。
私も自戒を込めて、今の2倍・3倍、話をしていきたいと思っています。

小さな企業で、研修を受ける余裕がなくても、最近はインターネットでかなりの情報を取ることができます。
また、一冊の良書を読めば知識も深まります。
自分で飛び込んで、刺激を受けていきたいものです。

私の12回のコラムのうち1回でも、何らかのヒントになって、さらにもっと調べていこうとするきっかけになるとすれば幸いです。今日もまた、営業に汗をかき、人と話してコミュニケーションをとり、目標を達成するための営業戦略を考えていきましょう。

<営業コラム 社員の営業力をアップする>
第1回: 苦手なタイプを克服するコミュニケーションスキル
第2回: 一方的な商談ではなく、双方向へ広がる質問とは
第3回: 大型商談を成功に導く4つの質問
第4回: 営業のブラックボックスを明らかにする
第5回: 販売機会はどこにある?一歩上を行くために
第6回: 競争に参加できるか?商材が顧客の要望を満たさないとき
第7回: この営業に勝つことができるか?相手を知る、関係を作る
第8回: この勝負は、勝ち取る価値があるか?
第9回: 案件診断から導く、5つの販売戦略
第10回: 差し迫ったニーズがなくても販売できる ~ 将来性をどこまで説得できるか
第11回: 激化する競争の中で、次の事業を考える
第12回: 社員の力・組織の力をどう伸ばす

若林保司
アイ・モバイル株式会社 エンタープライズ事業部長

1962年生まれ。コンパック・コンピューター、コンピューター・アソシエイツ、フォービス代表取締役社長、北欧の大手通信機器メーカーであるGNジャパン代表取締役社長を経て現在に至る。IT・通信業界に詳しく、日本のベンチャー企業から外資系企業まで、立上げの経験を持つ。GNジャパンでは、ゼロから10億円の売上実績を出し、「JABRAブランド」を構築する。良い経営者と言われるより「ベストセールスマン」と言われる方を好み、好きな言葉は「在緻密至成就」(よりきめ細かく緻密に考えた者が、必ず成功するという意味)。

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