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【営業戦略 第9回】案件診断から導く、5つの販売戦略

診断結果から考えられる5つの販売戦略 ~ 競合より優位に立つ

今関わっている商談に対して、勝率を上げるために4つの大きな評価項目があることをご紹介してきました。再度まとめて見てみると、下記のようになります。自社についてだけではなく、競合として戦っているA社、B社、C社など、すべての会社についてそれぞれの項目を一つ一つ見ていくと、自社と競合の立ち位置や有利な点・不利な点が見えてきて、販売戦略をどうするかの材料となります

案件を診断する4つの項目

案件診断を行う4つの項目

たとえば、「顧客の課題やプロジェクト」について、わが社は担当者とも信頼関係があって明確にわかっている、A社も別製品を3年前から納入しており明確であろう、しかしB社は最近紹介を受けて入ってきたがヒアリングも十分にしていないようだから、不明確だろう、などです。

こういった案件診断結果から、競合戦略が立案できます。競合優位に立つつために、5つの戦略が考えられます。
下記の表は、戦略を導くためのステップです。大前提として、その案件は「コンペリングイベント」があること、また競合先があることを確認しなければなりません。「コンペリングイベント (compelling event)」とは、”有無を言わさぬ”、”やむにやまれる”、ということで、顧客がそれをどうしても導入しなければならない、強いニーズがあることです。それが確認できたら、どの戦略をとるのかを考えましょう。

営業戦略を導くプロセス

正面戦略をとる

競合に対して、3:1の優勢である場合は、正面からぶつかっていく戦略がとれます。
すなわち、市場でのシェアが競合より3倍、商品の優位性やブランド力で3倍など、圧倒的に優れている場合、マーケットリーダーとして実績を強調し、正面から今の商品をそのまま導入することを提案すると良いでしょう。

正面戦略としては、「製品・サービス」での優位性のアピールに加え、圧倒的な「評判」や「実績」を伝える方法もあります。弊社の場合、中小企業向けホームページサービスを販売しているのですが、大きな強みは税理士やコンサルタントなどの紹介が多いこと、1万件以上の制作実績があることです。これは信頼性という大きなアピールポイントになります。ホームページは、小規模なデザイン事務所が作成している場合が多いのですが、それらの競合と戦う場合は正面戦略をとっていきます。

正面戦略の次は、側面戦略を

逆に、競合が正面戦略のアプローチで攻めている場合、相手の競合条件とは異なる戦略立案が必要です。
側面戦略として、ルールそのものを変更すること、または拡張することが考えられます。

80年代にマイクロソフトがWindowsを出した後、コンピューターのOS(オペレーティングシステム)の90%近くを占めるまでになり、ライバルだったApple社は、正面戦略を取ることができずにパソコン市場で衰退しようとしていました。違った戦略で生き残りを模索し、敵だったマイクロソフトに投資をしてもらうまでに落ち込んだ後、音楽や画像ソフトを充実させiPodやApple storeでのオンライン販売の拡充につなげることで、別のルールを生み出しました。ExcelやWordをAppleのパソコンでも使えるように互換性を高めていった結果、ルールの拡張にも成功してきました。最近は、iPhoneやiPadの成功により、スマートフォン市場では正面戦略を取っているようです。

中小企業の場合は、事業にもよりますが、正面戦略をとるのは大企業と比べて難しい場合が多いでしょう。
その場合、側面戦略で自社ならではの分野を見つけて、ルールを変えることです。

分割戦略で将来につなげる

正面戦略も側面戦略も使えない場合は、分割戦略があります。これは、販売機会を小さな部分に分割して、強みを生かせる部分だけでも勝ちとること」です。この場合、分割してでも勝ち取った部分が将来の取引につながるものか確認する必要があります。前回のコラムで、「大事は小事から」というお話をしました。大きな販売機会を得るために、まずは大手販売代理店のソリューションデスクに参加して、徐々に信頼関係を積み上げていったというものです。

分割戦略の活動は、「ニッチ」に攻めるか「共存」するかのどちらかです。

5種類の戦略のうち、ここまでは相手のニーズが高かった時、攻撃的に攻めていく方法を紹介しました。
相手のニーズが弱い時は、「防衛戦略」と「展開戦略」についてが考えられますがこれらは次回ご説明します。

まずは競合を知り、そして効果的な戦略を立てる。特に中小企業にとって、貴重で少ない資源を生かすための経営者の責務でしょう。

参考:TAS式(ターゲット アカウント セリング)営業戦略 ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社

<営業コラム 社員の営業力をアップする>
第一回: 苦手なタイプを克服するコミュニケーションスキル
第二回: 一方的な商談ではなく、双方向へ広がる質問とは
第三回: 大型商談を成功に導く4つの質問
第四回: 営業のブラックボックスを明らかにする
第五回: 販売機会はどこにある?一歩上を行くために
第六回: 競争に参加できるか?商材が顧客の要望を満たさないとき
第七回: この営業に勝つことができるか?相手を知る、関係を作る
第八回: この勝負は、勝ち取る価値があるか?
第九回: 案件診断から導く、5つの販売戦略

若林保司
アイ・モバイル株式会社 エンタープライズ事業部長

1962年生まれ。コンパック・コンピューター、コンピューター・アソシエイツ、フォービス代表取締役社長、北欧の大手通信機器メーカーであるGNジャパン代表取締役社長を経て現在に至る。IT・通信業界に詳しく、日本のベンチャー企業から外資系企業まで、立上げの経験を持つ。GNジャパンでは、ゼロから10億円の売上実績を出し、「JABRAブランド」を構築する。良い経営者と言われるより「ベストセールスマン」と言われる方を好み、好きな言葉は「在緻密至成就」(よりきめ細かく緻密に考えた者が、必ず成功するという意味)。

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